12月12日に、自民、公明両党が決定した2020年度税制改正大綱。税制改正の議論は、11月21日の自民税調総会から本格的に始まったが、それからたった3週間でA4判用紙117ページに上る大綱がまとまった。短期間でそれほどの内容を決めることができたのは、それ以前から税調幹部や財務省が水面下で改正案を練り上げてきたからだ。【深津誠】
そして、今年秋に自民税調会長に就任した甘利明氏が意欲を燃やした次世代通信規格「5G」やベンチャー企業に投資する企業の法人税を減税する税制も、新設が決まった。
「大企業に手厚く、庶民に厳しいという批判は当たらない」。甘利氏は12日、大綱をまとめた後の記者会見でそう強調した。「今回の税制改正が大企業優遇となっているうえに、減税で財政再建も遠のくのでは?」という質問への答えだった。批判が当たらないのは、「古い税制からコスパ(コストパフォーマンス)の高い、時代の要請にあった税制にスクラップ・アンド・ビルド」するからだという。既存の企業向け減税を廃止して代わりに導入するため、大企業への優遇策の数が増えるわけではなく、財政面でも大きな影響はないという理屈だ。
財政への影響を最小限にとどめるというのは、税収維持に腐心する財務省が税調に示した最低限の防衛ラインだろう。ただ、一般市民の感覚では、不要な減税制度をやめるのは当たり前だ。しかも、消費税…
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2008年入社。大分支局、福島支局、社会部を経て、18年から経済部。銀行やフィンテック業界などを取材し、19年10月から財務省と内閣府を担当。0歳児の父親で、「保育園に落ちた」の当事者となり、税制や財政のあり方を身近に感じ始めた。
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