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「敵に対する幻想は自滅行為」統制強める金正恩氏 高まる北東アジアリスク

北朝鮮北部の白頭山で記念撮影する金正恩朝鮮労働党委員長(左から2人目)と韓国の文在寅大統領(右から2人目)。両端は金氏の妻の李雪主氏(左)と文氏の妻の金正淑氏=2018年9月20日、朝鮮中央通信・朝鮮通信

 冷戦が終結して30年。今もなお分断が続く朝鮮半島では、昨年6月の史上初の米朝首脳会談を受け、北朝鮮の非核化と恒久的な平和体制への期待が高まった。ところが今年は一転、再び「緊張モード」へと回帰。北朝鮮のミサイル開発の加速が目立ったが、実は韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権もその間に国防予算を急増させている。南北ともに「軍拡」に突き進む背景を探った。【渋江千春(ソウル)、米村耕一】

 「敵に対する幻想は死を意味する」

 今年2月にハノイで行われた米朝首脳会談が事実上の決裂に終わってから数カ月後、中朝国境に近い北朝鮮北部の各治安機関に「敵と平和に対する幻想を排撃し、全民抗戦準備をさらに徹底的に進めることについて」と題した思想教育用の内部資料が配布された。

 毎日新聞が入手した資料の冒頭には、治安機関幹部たちを戒める金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の言葉が記されている。軍最高司令官でもある金委員長は「敵に対して幻想を持てば、革命を放棄することになり、いずれ革命を台無しにする」と続けた。「敵たちは南朝鮮(韓国)・米国連合訓練を再開した」とも指摘されていることから、「敵」が米国と韓国を指すことは明らかだ。

 一方、この治安機関幹部向け資料が、最も重点を置くのが、昨年9月、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が平壌を訪問して南北首脳会談が開かれて以降、北朝鮮国内に広がった「平和ムード」と緊張感の緩みへの対処だった。

 「最近、一部の人々はかいらいたち(文大統領一行)が平壌に来たので、朝鮮半島情勢は穏やかになり、平和が来ると錯覚している。そうした平和気分にとらわれ、軍事訓練に参加しなかったり、形だけの参加ですませたりしている」。資料はこう指摘し、「敵と平和に対する幻想は、銃口の前で居眠りするのと同じ自滅行為だ」と激しく批判した。

 北朝鮮住民によると、北朝鮮の労働者は年に1カ月、順番に軍事訓練…

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