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北陸ダークツーリズムガイド

観光の対象はさまざまで、戦争や災害の跡を始めとする悲劇の記憶を見に行く旅人もまた多い。1990年代から、ヨーロッパを中心としてこの悲劇の記憶を巡る旅の研究が掘り下げられ、一般に「ダークツーリズム」と呼ばれるようになった。ダークツーリズムは、悲劇の記憶を教訓として後世に引き継ぐ役割を持っていることから、急速にその支持を増やしつつある。本連載では北陸3県を中心としたダークツーリズムの旅を紹介する。

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金沢監獄跡 明治期、司法制度に思いはせ /石川

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金沢美術工芸大の正門脇にわずかに残る旧金沢監獄のレンガの壁跡=金沢市小立野で、阿部浩之撮影
金沢美術工芸大の正門脇にわずかに残る旧金沢監獄のレンガの壁跡=金沢市小立野で、阿部浩之撮影

 刑務所は紛れもなく近代の施設である。それは前近代までの「牢屋(ろうや)」とは明らかに一線を画す。

 牢屋には罪を犯した咎人(とがにん)が放り込まれたわけだが、そこには現代の我々がイメージする裁判もなく、曖昧模糊(あいまいもこ)とした手続きによって罪と罰が認定され、一般社会への威嚇の意味もあって厳しい刑の執行がなされた。

 しかし、市民革命後の西欧世界では立憲主義が発達し、恣意(しい)的な刑罰権の行使はできなくなった。法治国家の理念の下、司法制度というこれまた近代のシステムにのっとった仕組みの中で犯罪が裁かれ、罪を犯した人々は刑務所に送られていった。時代が進むと、懲役刑の期間を使って更生に基づく社会復帰も重視されるようになった。換言すれば、刑務所という一見ひどく抑圧的に感じられる場所であっても、そこにすら「法の支配…

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