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クリスマス前に直売所再開 台風15号で被害を受けた千葉・八街のイチゴ農園が目指す再建

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台風被害後に植えた苗は、少しずつ実がなっていた。イチゴ農園の再建を目指す立花悟さん(左)と遥さん=千葉県八街市で23日、中嶋真希撮影

 台風15号の直撃で大きな被害を受けた千葉県八街市の「立花苺園」が20日、イチゴの直売所を再開した。ビニールハウスは強風でなぎ倒され、イチゴの苗床が水浸しになったが、無事だった苗床を植えてイチゴの需要が高まるクリスマスになんとか間に合わせた。食べた瞬間、口に広がる甘みは健在。常連客は「やっぱりこの味だよ」と笑顔で直売所を訪れる。ただ、収穫量は大幅に減少。生産者の立花悟さん(31)は「味はいいが、数が少ない」と厳しい表情を浮かべる。イチゴのほかに長ネギなども育てながら、必死に再建を目指している。【中嶋真希】

 「お待たせしています。大変遅くなりましたが、立花苺園のいちご直売所開始日が決定致しましたのでお知らせします。明日、12月20日(金)11:00~なくなり次第終了です」

 9月9日に上陸した台風15号でビニールハウスが崩れ、イチゴの苗床が水浸しになった立花苺園。入荷情報などを知らせる公式のLINEで19日、再開を知らせるメッセージを登録者に向けて送った。「開店時間の30分前からお客さんが来てくれた」と、悟さんの妻、遥さん(29)は話す。

箱に詰めたイチゴは、甘い香りを放っていた=千葉県八街市で23日、中嶋真希撮影

 例年、クリスマス前の週末はかき入れ時だが、販売できたのは1日10パックに満たない。それでも「やっぱりここのイチゴがおいしい」と常連客は笑顔で買っていってくれた。「『ハウスが壊れちゃったんだね、がんばってね』と励ましてくれた」と話す遥さんの手には、箱詰めした大きなイチゴ。お客さんは北海道から沖縄まで。例年は希望の大きさや時期を聞いて配送しているが、今は予約を入れてもらい、出来次第配送しているという。

 骨組みが少し曲がったものの、無事だったハウス2棟に浸水しなかったイチゴの苗を植えたのが9月15日。最初の5日間は停電で散水のパイプも使えず苦労した。「収穫量は例年の3分の1以下」と悟さん。「予約してくれるお客さんに対応するだけでいっぱいで、卸すこともできない。利益がでるのかな」。11月には別のハウスにも苗を植えたが、「本来なら9月中旬から下旬に植えて株を大きくしてあげてから冬を越させないといけない」と表情は厳しい。

 数は少なくても、味は「うまくいったかな」と悟さん。「味はいい。そこだけが長所。わざと完熟させて、ちょうどいい硬さにしている。もっと量をとるために面積も増やしたいけれど、また台風15号みたいなのがきてしまうと……。増やしていいのかな」と悩む。

苗床を育てるハウスがなく…

 親の代から続く農家が多い中、立花さん夫妻は自分たちの力で開業した。悟さんが県内の農家で4年間働き、2016年に畑を手に入れた。イチゴの品種は「やよいひめ」だが、自宅で飼っているウサギ「マロン」のふんを集めて乾かし、肥料にしていることから「ラビットベリー」と名付けた。ほどよい硬さと甘みが特徴。「冬は甘く、春は香りが楽しめる」と悟さんは自信を持っている。しかし、「味が良くても、数がなければ」と肩を落とす。

骨組みが崩れた育苗のためのハウスは、解体されていた=千葉県八街市で23日、中嶋真希撮影

 台風15号の後、10月にようやく壊れたハウスを解体。近隣では手配できず、栃木県の業者に依頼した。骨組みが残ってフィルムがはがれたハウスは、自分たちの手で張り直した。10月12日に上陸した台風19号の前に、ハウス1棟はパイプを組んで補強もした。「考えることはみんな同じ。パイプがなかなか手に入らず、ホームセンターを回った」と遥さん。19号の大雨でネギやブロッコリーが流される被害があったが、イチゴのハウスはなんとか持ちこたえた。

 ただ、壊れて解体したのは苗床を育てる「育苗ハウス」。早く新しいハウスを建てなければ来年の苗床を育てることができない。「ハウスを建てるためのパイプが足りない。建てる大工も足りない。来年中の再建はできないかもしれないと言われた」と悟さん。苗床を置くためのベンチはあるが、「屋根がないと育たない。苗を買うという選択肢もあるが、1個100円以上する。それを1万株は買わなければならず、割に合わない」。9月に苗を植えるには、3月から苗床を育て始める必要がある。「2月下旬には何かしらの決断をしなくては」

台風15号の影響で倒壊したビニールハウス=千葉県八街市の立花苺園で9月24日、中嶋真希撮影

「がんばっているのはイチゴ」

収穫されたイチゴ。甘い香りが漂っていた=千葉県八街市で23日、中嶋真希撮影

 9月に植えたイチゴのハウスを見渡し、「見たところ、生育は進んでいる。受粉してから45日、花が散っていれば20日かかる。まだ花が咲いているから、収穫できるのは1月以降になってしまう」と悟さん。遥さんは「暖かくなると、まるでジャングルのようにイチゴの実がなる。このイチゴたちも、そうなってくれることを願うばかり」と期待を込める。

 悟さんは「がんばります」と意気込み、「ま、がんばっているのはイチゴなんですけど」と笑った。

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