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社説

自衛隊の中東派遣決定 結論ありきに疑問が残る

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 海上自衛隊の中東派遣が閣議決定された。米国主導の海洋安全保障イニシアチブ(有志連合)に参加すれば、イランとの友好関係が立ちゆかなくなる。そのため有志連合とは一線を画す独自派遣の形をとった。

 しかし、ホルムズ海峡付近で日本企業が運航するタンカーが攻撃されたのは6月だ。その後、情勢は落ち着いている。なぜ派遣が必要なのか。米国の顔を立てるため、結論ありきで検討が進んだ印象は拭えない。

 疑問が残るのは、防衛省設置法の「調査・研究」を派遣の根拠規定としたことだ。日本周辺の海域・空域で自衛隊が普段行う警戒監視活動などの根拠とされている。

 調査・研究名目の情報収集活動であれば、イランに軍事的圧力をかける意図はないと説明しやすい。だが、海外に軍事力を派遣する重い政治決断の法的な裏付けとしては軽すぎる。あまりにアンバランスだ。

 護衛艦の活動海域はアラビア海北部からオマーン湾までとし、ホルムズ海峡とその奥のペルシャ湾を除外したのもイランへの配慮だ。危険度の高い海域には入らず、情勢の変化を見極める思惑もあろう。

 それでも広大な海域だ。日本関連の船舶が攻撃される事態になれば海上警備行動を発令するというが、護衛艦1隻では限度がある。

 護衛艦の到着は来年2月になる見通しだ。いくら中立の体裁をとっても、実態は米国の同盟国としての活動が中心になる。収集した情報は米海軍と共有し、事実上、有志連合と連携していくとみられる。アデン湾で海賊対処に当たってきたP3C哨戒機も新たな任務を兼ねる。

 安倍政権としては米国への「お付き合い」程度にとどめたつもりでも、敵対勢力からは「米軍と一体」とみなされ、日本が紛争当事者となりかねないリスクがある。

 だからこそ、軍事力を動かすときには厳格な法治とシビリアンコントロール(文民統制)が求められる。国会でほとんど審議せずに閣議決定した政権の姿勢は問題だ。国会での継続的な検証を求めたい。

 そもそもホルムズ海峡の治安が悪化したのは、米国がイラン核合意から離脱したことに端を発している。緊張を緩和するための平和的な外交努力を継続すべきだ。

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