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背景に進むスマホ決済、銀行離れの危機感 三菱UFJ銀とリクルートが「coin」で新会社

三菱UFJ銀行のロゴ=東京都大田区で2019年5月10日、米田堅持撮影

 このままでは銀行と個人客との接点が失われてしまうのではないか――。三菱UFJ銀行は2020年、リクルートホールディングスとデジタル通貨「coin(コイン)」を発行する新会社を設立し、スマホ決済分野に参入する。自前路線を転換し、ネットで宿泊予約やグルメサイトを運営するリクルートと組むことで、利用者の裾野を広げる狙いがある。だが、スマホ決済分野にはIT大手などが相次いで参入してシェアを急拡大させており、「苦戦は必至」(業界関係者)の情勢。一方、政府の規制緩和で銀行口座以外への給与振り込みが可能になれば、銀行ではなくIT企業が給与の受け皿になりかねない。個人客の開拓を目指すコイン発行計画の裏側には、メガバンクが抱く「銀行離れ」への危機感がある。

 「デジタル化の進展に伴い、金融というフィールドに新しい参加者がやってきている」。11月13日に開かれた持ち株会社、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の決算記者会見。金融分野で新規参入が相次いでいることに対し、三毛兼承社長は強い警戒感を示した。その3週間後の12月4日、リクルートとの合弁会社設立計画が報道で明らかになった。

 三菱UFJは以前からデジタル通貨の発行を検討しており、当初は「MUFGコイン」として17年にも実用化することを目指していた。しかし、利用者の本人確認の手法や不正アクセス対策などの検討を重ねる中で計画は大きく後ずれ。「石橋をたたきすぎて渡れなくなる」(メガバンク幹部)とも揶揄(やゆ)される慎重な社風もあって発行が遅れる中、IT業界の攻勢で決済を巡る環境は激変した。

 ソフトバンクとヤフーの合弁会社は18年10月、スマホ決済サービス「PayPay(ペイペイ)」を開始。支払額の一部を利用者に還元する「100億円あげちゃうキャンペーン」などを企画し、銀行とは別次元のスピード感で利用者をかき集めた。ペイペイの利用者数は19年11月に2000万人を突破。MMD研究所が9月に実施した調査によると、スマホ決済の市場シェアはペイペイが44・2%、楽天ペイが17・1%、LINEペイが13・6%。IT系の上位3サービスで7割超のシェアを握る。消費税増税に伴う政府のポイント還元制度も利用拡大の追い風となっている。

 この間、銀行業界も手をこまねいていたわけではない。みずほ銀行は19年3月、地銀数十行と共同で「Jコインペイ」のサービスを開始した。しかし、使える店舗が少なく、利用者数は足元で約13万人と苦戦している。ペイペイなどはコンビニやスーパー、外食チェーンなど使える店を増やして利便性を高めており、銀行業界でも「消費の現場に結びついていないサービスは使ってもらえない」が共通認識。こうした状況下で明らかになったのが三菱UFJとリクルートのコイン発行計画だ。

 新会社はリクルートが51%、三菱UFJが49%を出資する方向。過半をリクルート側が握り、通貨名から同行の英語表記の一部である「MUFG」を外したことからも分かるように、三菱UFJは決済システムを支える「黒衣役」を担う形となる。リクルートはグルメサイト「ホットペッパーグルメ」や宿泊予約サイト「じゃらんnet」などを展開しており、こうしたサイトをてこにコイン利用者の拡大を目指す。

 スマホ決済事業者が乱立する中で、「後発組」のコインに勝算はあるのか。三菱UFJの関係者は、安全性で「一日の長がある」と自負する。セブン―イレブン・ジャパンの「セブンペイ」が不正利用問題を受けて廃止に追い込まれたのは記憶に新しく、安全性は売りの一つになりうる。ただ、銀行業界からは「既に…

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