連載

日本文化をハザマで考える

日本文学研究家のダミアン・フラナガンさんが、日英の「ハザマ」で日本文化について考えます。

連載一覧

日本文化をハザマで考える

第17回 「漱石山房」で夏目漱石は、心理的な「山脈」という風景を作り上げた

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
夏目漱石
夏目漱石

 先日、東京にある漱石山房記念館を初めて訪れた。2、3年前にオープンしたばかりの記念館は素晴らしかった。非常にモダンで魅力的な建物で、講演会用のホール、漱石に関する本が何百冊も収容してある図書館、それに可愛らしいカフェもある。

 しかし、何といってもハイライトは書斎である。これは漱石が1907年から16年まで使っていた書斎を、彼の死後すぐに撮られた写真に基づいて、かつてあったその場所に、往時の通りに再現している。細部に至るまで驚くほど注意が払われ、漱石の写真が撮られた場所として有名なベランダ式の回廊までも再現されている。また、その向こうには、バナナの木も繁茂している。

 漱石の書斎がある棟と家族が暮らす棟とが分かれていることや、天井が予期せぬほど高いことなど、漱石の家のいくつかのことが私の注意を引いた。

この記事は有料記事です。

残り980文字(全文1334文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の特集・連載
すべて見る
この記事の筆者
すべて見る

ニュース特集