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少子高齢化で医療費の抑制が求められる中、医師らの人件費が「聖域」扱いされてはいないだろうか。
診療報酬は国が定める医療サービスの価格で、総額を管理する。医師や看護師らの人件費や物件費に充てられる「本体」と薬や医療材料の「薬価」に分かれる。
今回の2020年度改定では、本体を0・55%引き上げることが決まった。額では2400億円程度増える。薬価は1・01%下げたものの、削減効果は半減する。
薬価引き下げで浮いた財源を、本体増額に回す手法は常態化している。人件費分は7回連続の引き上げだ。この対応は当然なのか。
診療報酬では、物価や他産業の賃金動向を人件費に反映する必要性はあるだろう。
ただ、財務省によると、1990年代後半以降、賃金や物価水準が上昇しなかった。一方、診療報酬本体の水準は上昇傾向をたどっている。
18年度の平均年収は、国公立をのぞく医療法人の病院長で約3042万円、医師は約1641万円。診療所の院長は約2807万円だ。
改定率は、財務省と厚生労働省に日本医師会が加わって調整するが、過程は不透明だ。日医は組織内から自民党国会議員を出し、政治的な影響力を持つ。官邸を巻き込んだ駆け引きで決着するのが実態だ。
医療費は18年度で約43兆円と見込まれている。高齢化で今後さらに増加していく。制度を支えるため、75歳以上の人が窓口で支払う自己負担を、一部で引き上げる方針も決まっている。
医療費負担を分かち合う立場から、本体引き上げの妥当性をより厳しく検討しなければ、制度の持続可能性にも疑問符が付きかねない。
今回は、救急病院に限定した特別枠が設けられた。人員配置を手厚くし、長時間労働が常態化している勤務医の負担軽減が狙いだ。
過去にも、勤務医の待遇改善を促すため、医科の中で外来と入院に改定率を分けた例がある。
重視する政策をわかりやすく打ち出すためにも、今後も、特例的な枠を設けてよいのではないか。
重点化でメリハリを付け、医療費膨張の歯止めにつなげていく努力も必要だ。
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