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15歳のニュース 宇宙開発新時代 民間機でISSへ 宇宙飛行士・野口聡一さん

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 宇宙開発は今年、大きな転換てんかん点をむかえる。国の機関ではなく、米国の民間企業みんかんきぎょうが開発した新型宇宙船が、初めて人を乗せて国際宇宙ステーション(ISS)へと飛び立つ。人類の火星到達とうたつ見越みこして、新しい火星探査車が打ち上げられる。そして年末には、日本の探査機「はやぶさ2」が小惑星しょうわくせいの岩石という「宝物」をかかえて地球へ帰ってくる――。ワクワクがいっぱいの2020年の宇宙をめぐるできごとについて紹介しょうかいする。

国際宇宙ステーション=JAXA/NASA提供
2020年の目標を書いた色紙を手にする宇宙飛行士の野口聡一さん

旅行者にも宇宙が身近に 進化に期待

 「新型はこれまでの宇宙船ほど訓練が必要ない。一般いっぱんの人も宇宙旅行に行きやすくなる」。宇宙航空研究開発機構(JAXA)のベテラン飛行士、野口聡一のぐちそういちさん(54)は今年、日本人飛行士として初めて民間企業みんかんきぎょうが開発した新型宇宙船に乗り、ISSに向かう。3回目の宇宙飛行に向け訓練中の野口さんに、宇宙が身近になるという新しい時代の宇宙船について教えてもらった。

次の目標は月

宇宙探査の将来などを語る宇宙飛行士の野口聡一さん

 米国のスペースシャトルが2011年7月に引退後、ロシアの宇宙船ソユーズが各国の飛行士たちのISSへの移動を担ってきた。野口さんは最初の飛行(05年)でスペースシャトルに搭乗とうじょう。2回目の飛行(09年)はソユーズを利用した。そして3回目は年内にも、米国の宇宙ベンチャー企業きぎょうスペースX社と航空宇宙企業ボーイング社が開発を競い合う新型宇宙船への搭乗が決まっている。

 スペースシャトルとソユーズの両方を知る野口さんは米国企業の新型船について「スペースX社製もボーイング社製も、圧倒的あっとうてきに新しい時代の宇宙船なのは確かだ」と話す。

米スペースXが開発中の宇宙船「クルードラゴン」のイメージ=NASA提供

宇宙船が飛行士に提案

米ボーイングが開発中の宇宙船「スターライナー」のイメージ=NASA提供

 スペースシャトル搭乗時は訓練を重ね、パネルの裏側の配線まで理解していたという野口さん。「一つのスイッチには一つの役割しかなく、飛行士は異常が起きたときのために、船内の全スイッチを知る必要があった」。ところが、自動車や飛行機と同じように、宇宙船でもコンピューター化や自動化が進み、新型船では一つの画面で、スマートフォンのように多くの操作をこなせる。たくさんのデータの中から宇宙船自身が状況じょうきょう判断し、今行うべき操作について、飛行士に提案してくれる仕組みになりつつあるという。

 こうした宇宙船の進化により、宇宙を旅行したい人たちは長く厳しい訓練から解放されることになりそうだ。「宇宙旅行希望者が宇宙に行きやすくなる時代が来た」と野口さんは力をめる。

日本企業も参入

南極・昭和基地建設の技術が活かされた月面有人基地のイメージ図=ミサワホーム提供

 これまで国が威信いしんをかけて行ってきた宇宙開発だが、宇宙船だけでなく、今やあらゆる部分で民間企業の力が欠かせない。月面に人類が長期間滞在たいざいする将来を見越みこして、日本企業も動き出している。トヨタ自動車はJAXAと協力し、宇宙服を着ずに移動できる月面探査車の開発をスタート。ミサワホームも、南極基地の技術を応用し、将来の月面基地建設を検討している。「日本人の飛行士が月面で日本製の車に乗り、日本製の家に住む。ダイナミックな時代が来るでしょう」。野口さんは期待をめて話していた。


 ■KEY WORDS

 【野口聡一のぐちそういちさん(54)】

 神奈川県横浜よこはま市出身。物作りが好きな子供だったという。高校1年生の時にテレビのニュースでスペースシャトルの打ち上げを見て触発しょくはつされ、宇宙飛行士を目指す。東京大学大学院修士課程修了しゅうりょう後は石川島播磨いしかわじまはりま重工業(現在のIHI)でジェットエンジンの設計や性能試験を担当していた。1996年に宇宙飛行士候補に選ばれた。

 【スペースシャトル】

 1981年の初飛行以来135回打ち上げられ、日本人宇宙飛行士7人をふくむ16カ国356人、延べ800人以上が搭乗とうじょうした。

 【新型しんがた宇宙船うちゅうせん

 米国政府は、ISSなど地球周辺への飛行は民間開発の宇宙船に任せる戦略を発表している。政府の審査しんさに合格したのがスペースX社とボーイング社。スペースX社の宇宙船「クルードラゴン」は、2019年3月に初の無人飛行試験でISSへのドッキングに成功したが、4月に火災事故を起こし、機体が損傷した。一方ボーイング社の宇宙船「スターライナー」は昨年12月、無人試験でISSへのドッキングに失敗したが、機体は地球にもどった。いずれの企業きぎょうも成功と失敗をり返しながら、初の有人飛行に向けて開発を進めている。

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