メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

放送終了から2年「聖地巡礼」後絶たず アニメ「宇宙よりも遠い場所」の館林市

東屋でファンの寄せ書きを見る中山墾さん(右)と仙台市から訪れた落合知夫さん。「多くの人が直面する悩みや苦しみに寄り添い、真正面から向き合った作品」=群馬県館林市花山町のつつじが岡公園で2019年12月15日、鈴木敦子撮影

[PR]

 映画やドラマのロケ地、アニメの舞台などゆかりの地を訪ねる「聖地巡礼」が人気だ。しかしファンの間では有名でも、地元では「知る人ぞ知る」現場も少なくない。作品の中ではおなじみの景色がひと味違って見えるかも……。群馬県内のロケ地を訪ねた。【鈴木敦子】

 世界で最も寒い南極を目指す女子高生ら4人の成長を描いた青春アニメ「宇宙(そら)よりも遠い場所」(通称「よりもい」)は、かつて「日本一暑い」とされた館林市が舞台だ。2018年1~3月にテレビやネットで放送されると、作品に魅了された市民有志が「巡礼マップ」や公式グッズの製作に奔走。放送終了から約2年が経過した今も「聖地巡礼」に訪れるファンが後を絶たない。

 昨年12月15日、上毛かるた「分福茶釜の茂林寺」で知られる茂林寺近くのうどん屋で、ファン主催の「ゆづ誕生日会」が開かれた。ゆづは主人公の一人。10~60代の男性を中心に、遠くはカナダからも駆けつけ、作品談議に花を咲かせた。誕生日会は4人分で年4回、市内で開催され、毎回数十人が参加している。

つつじが岡公園総合管理事務所内の「よりもい」コーナー。ファンが描いたイラストやメッセージカードなどが並ぶ=群馬県館林市花山町で2019年12月15日、鈴木敦子撮影

 物語では、4人が南極観測隊員として日本をたつまでは、東武館林駅やつつじが岡公園、茂林寺などが登場。さらに劇中の郵便局やコンビニエンスストアなども実在するため、市内随所で物語を追体験できる。巡礼マップを作った中山墾(こん)さん(53)によると、ファンがほぼ必ず足を運ぶのが同公園内の東屋(あずまや)だ。天気の良い日は眼下の城沼(じょうぬま)に青空が反射し、かなたには日光連山が見える。「日常過ぎて気にも留めなかった景色がこんなに魅力的だったとは……」。故郷を見直すきっかけになったという。

 「ざまあみろ」「ざけんなよ!」。主人公が南極行きの夢をばかにした連中らに向けて発したせりふに、自らの人生を重ね合わせ、涙したファンもいる。相模原市の大塚恒平さん(48)はかつて勤務先のアプリ開発会社で特許につながる技術を開発したが、上層部と対立して追い出され、仕事を奪われたという。新たな職場で成果を上げても、時に激しいむなしさを覚えた。「不条理に負けてたまるか。人からばかにされても自分を信じよう」。「よりもい」が前に進むエネルギーをくれた。千葉県習志野市の男性(58)も背中を押された一人だ。イラストが趣味だが、他人の評価を気にして描けなかった。自分に正直に生きる素晴らしさに感動し、昨年11月、自作のイラストを館林市内の飲食店に寄贈。その後も描き続けている。

 地元で皮革製品を製造販売する「クラフトコテージ」の鈴木浩之さん(42)は放送を見て「これは文句なしに最高傑作。『巡礼者』が来る」と直感。南極形のキーホルダーを考案し、約半年にわたって著作権者と交渉を重ね、18年8月に公式グッズに認められた。市内の和菓子店や居酒屋店主も仲間に引き込み、それぞれが公式メニューを作成。「良い作品だから多くの人に知ってほしい。館林はファンの集まる場所であり続けたい」

 つつじが岡公園は東北自動車道館林ICから10分、東武館林駅から徒歩30分。巡礼マップには約40カ所を掲載。マップの配布場所や巡礼情報は「館林くらし」(https://tatebayashi.info/yorimoi-index)。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 河井案里議員に「裏切られた」 車上運動員紹介の広島県議を任意聴取 広島地検

  2. 首相、施政方針で「台湾」に言及 異例の演説、どよめきと5秒間の拍手も

  3. 日大ラグビー部員を大麻所持容疑で逮捕 部は無期限活動停止に

  4. まさに「雪乞い」 東京五輪の暑さ対策、少雪でピンチ 豪雪の南魚沼

  5. 7カ月乳児が9階から転落死 母親と訪ねた大阪の市営住宅から

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです