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毎日新聞

祖母・峰子さんとの約束について振り返る岡本碧優=東京都内で2019年11月22日午後3時、田原和宏撮影

Passion

祖母との「約束」胸に秘め 金メダル狙う13歳 スケートボード岡本碧優

 東京五輪で14歳の金メダリストが誕生するかもしれない。五輪初採用のスケートボード・パーク女子の岡本碧優(みすぐ)=MKグループ=だ。五輪予選を兼ねた国際大会では現在、4戦4勝と圧倒的な強さを誇る。代名詞の横1回転半の大技「バックサイド540(ファイブフォーティー)」を武器に13歳の世界王者は祖母に誓った「五輪で優勝する」との約束を果たす。【田原和宏】

     愛知県高浜市出身。兄の影響で小学2年から競技を始めた。幼い頃から「空を飛びたい」という夢があった岡本は空中に高く飛び出す「エア」の大技に魅了された。当時はまだ女子選手が少なく、男子に交じって練習から競い合うことでレベルアップした。母知里さん(47)は「負けず嫌いな性格。できないことがあるとできるまで黙々と挑戦していた」と振り返る。

    国際大会で圧倒的な強さを見せる岡本碧優= ⒸWorld Skate and Piero Capannini

     2019年は飛躍の年になった。幼い頃から培ったエアの高さに加えて、女子選手では成功例の少ない大技「540」で世界を席巻。6月に米国で行われた五輪予選初戦を制すると、9月の世界選手権を含めて4連勝。予選の対象外だが、若者に圧倒的な人気を誇る北米の「Xゲーム」も制した。

    祖母・峰子さん(左)と五輪での金メダルを約束した岡本碧優=家族提供

     18年12月、古里を離れて、パーク男子で五輪出場を狙う笹岡建介(MKグループ)の岐阜県内の実家に下宿し、技を磨き始めたことが転機となった。スマートフォンで海外の映像を見て学ぶ選手が多いが、岡本はあまり見ない。プロ選手を多数輩出する笹岡家では日常的に高い技術指導が受けられるからだ。岡本も「全部任せきり。笹岡家で指導してもらい、うまくなった」と手応えを口にする。

    小5の誓い「優勝するから見ていてね」

     岡本には五輪に向けて胸に秘める思いもある。18年3月に76歳で亡くなった祖母の峰子さんとの約束だ。同居していた峰子さんは岡本が練習に行くたびに心配していたが、試合に出るようになると岡本の話を楽しみにするようになった。亡くなる4カ月前には病気にもかかわらず、応援にも駆け付けてくれた。

     亡くなる直前、最後の別れと覚悟して近くの病院を訪れた。両親から「おばあちゃんに約束しないの」と促されると、涙ながらに「五輪に出て優勝するから見ていてね」と声を掛けた。当時は小学5年。五輪はまだまだ遠い目標だったが、「とにかくスケートボードを頑張るという気持ちだった」という。峰子さんの目に力が宿るのを見て、伝わったことを確信した。

     あれから約2年。岡本はトップ選手として東京五輪の優勝を見据えるまでに成長した。「今は五輪の優勝は頭にない。目標とする滑りをしたい、それだけ」と話すが、祖母との約束を忘れたことは一日たりともない。

    田原和宏

    毎日新聞東京本社運動部。1972年、奈良県生まれ。教職などを経て2001年入社。06年からスポーツ取材に関わり、福岡、大阪勤務を経て13年から現職。16年リオデジャネイロ五輪では体操、卓球などを担当。東京五輪取材班キャップ。スポーツクライミングなど新競技にも注目する。職業病なのか、「おかしいやろ」が口癖。