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余録

「初席のがら〱の入りでありにけり」と詠んだのは…

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 「初席(はつせき)のがら〱の入りでありにけり」と詠んだのは寄席文化研究家の正岡容(いるる)だ。初席とは寄席の正月興行のこと。本来なら初笑いを求める観客でいっぱいになるところだが、空襲が激化する1945(昭和20)年の正月はそうもいかなかった▲芸を楽しむのも平和な世であってこそ。折しも寄席は初席のにぎわいを見せる。そんな東京の寄席の一つが浅草演芸ホールだ。初詣客でごった返す浅草寺の西側、かつて興行街として栄えた浅草六区にある▲一帯は1884(明治17)年に浅草公園として造成され、3年後に最初の劇場、常盤座が誕生した。次第に劇場や映画館が南北に軒を連ね、最盛期には30館を超えたという。昭和に入るとエノケンこと榎本健一が黄金時代を築いた▲演芸ホールの開場は東京五輪が開催された64年だ。一方、五輪を境に娯楽の主軸がテレビに移り、六区が衰退していったのは時代の皮肉だろう。しかし近年、外国人観光客の増加もあって、街を訪れる人は増加している▲昨秋には六区に興行街のにぎわいを取り戻そうというプロジェクトが始動した。演芸ホールの前を通る全長約300メートルの「浅草六区ブロードウェイ」が国家戦略特区に認定され、路上パフォーマンスやオープンカフェが可能になった▲六区は娯楽の最先端であっただけではない。エノケンは「とくに浅草のお客さんは目が肥えていて、実に厳しかった」と俳優がお客さんに育てられたと自伝につづる。文化を育む心意気も問われている。

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