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米中のはざまで

日米安全保障条約は1960年1月19日の改定から60年が経過した。自国第一主義を掲げるトランプ米大統領が出現した米国。軍事・経済両面で急速に伸張する中国。両国の2極化が進む中、安保環境はどう変化しているのか。また、日本は両国とどう向き合い、どういう役割を果たせばいいのか。幅広い分野に焦点をあてながら、安保を巡る「いま」を探る。

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安保条約60年 第1部/3 馬毛島買収交渉 難航打開の腹案 収用「政権吹っ飛ぶ」

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 在日米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)施設が整備される予定の鹿児島県西之表市の無人島・馬毛島。日本政府は2019年末、島の大半を約160億円で買収することを決めたが、そこに至る買収交渉が難航する過程で一時、買収とは別の手法を検討した。強制的に土地を取り上げる「収用」だ。【「米中のはざまで」取材班】

 17年11月、首相官邸4階の和泉洋人首相補佐官の執務室。和泉氏は防衛省幹部を呼び、行き詰まった馬毛島買収交渉の打開策を協議していた。馬毛島は11年の日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の共同文書に訓練の候補地として明記されたが、防衛省と地権者の交渉は難航した。防衛省は一時、代替案として北九州空港も検討したものの、断念。迷走が続いていた。

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