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米中のはざまで

日米安全保障条約は1960年1月19日の改定から60年が経過した。自国第一主義を掲げるトランプ米大統領が出現した米国。軍事・経済両面で急速に伸張する中国。両国の2極化が進む中、安保環境はどう変化しているのか。また、日本は両国とどう向き合い、どういう役割を果たせばいいのか。幅広い分野に焦点をあてながら、安保を巡る「いま」を探る。

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米中のはざまで

安保条約60年 第1部/4 「日本型スマートシティー」構想 中国一帯一路、比で交錯

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 2019年12月6日、相模湾を見下ろす神奈川県小田原市内のリゾートホテル。国土交通省出身で菅義偉官房長官に近い和泉洋人首相補佐官とフィリピンのドゥテルテ大統領側近、ドミンゲス財務相が向き合った。ニュークラークシティー(NCC)に近接するフィリピン北部の戦略的要所、スービック湾の開発に関する両国の協力覚書(MOC)にサインするためだ。

 首相官邸の中核人物の一人でもある和泉氏は日本が主導するNCC開発にも初期から関わってきた。18年11月にはマニラで「日本型スマートシティー」をアピールする講演をしている。人口減少などで日本の国内市場が縮小に向かう中、成長を続ける東南アジアでの「質の高いインフラ整備」であるスマートシティーの展開に活路を見いだそうというのが日本政府の狙いだ。NCCでスマートグリッド(次世代電力網)事業を手がける丸紅…

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