毎日新聞
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安倍晋三首相が伊勢神宮に参拝し、年頭の記者会見を行った。
自民党総裁としての任期はあと1年9カ月となった。首相は「4選」を否定しており、長期政権は仕上げの段階に入っている。
会見では首相がその点をどう語るかがポイントだった。
首相が会見冒頭に強調したのは、東京五輪・パラリンピックへの期待と、「新時代を切り開く1年」にするとの意気込みだ。そのうえで、全世代型社会保障改革を「最大のチャレンジ」と位置づけた。
しかし、今年の通常国会に政府が提出する関連法案は、年金などの給付水準を抑え、高齢者にも相応の負担を求める保険財政のやり繰りが中心となる見通しだ。
人口減少と正面から向き合い、将来世代に活力を与える新時代のビジョンにはなっていない。
史上最長の通算9年目に突入しながら、国民の将来不安は変わらず、成果に乏しいのが現状だ。これでは仕上げの道筋も見えてこない。
憲法改正に関しては記者からの質問を受ける形で「私自身の手で成し遂げたい」と改めて意欲を示した。政権のレガシー(遺産)にしたい思いもあるのかもしれない。
だが、首相在任中に本気で改憲を実現したいなら、野党を巻き込んだ国民的な議論が必要になる。与野党対立の極まった国会では、改憲手続きを定めた国民投票法改正案の審議すら2年近く棚上げ状態にある。
首相がまず取り組むべきは「安倍1強」下で機能不全が指摘される立法府の立て直しだ。国会を軽んじる姿勢から改めなければならない。
首相は海上自衛隊の中東派遣について、国会でほとんど議論しないまま昨年末に閣議決定した。
会見で予定通り派遣する考えを示したが、中東情勢が緊迫する中でなぜ派遣が必要なのか。与野党で徹底的に議論する必要がある。
「桜を見る会」の問題も通常国会で議論すべき重要なテーマだ。
しかし、会見で首相は記者の質問に具体的な説明はせず、「今後も丁寧に対応してまいりたい」と述べるにとどまった。
野党の求める審議を拒み、説明責任に背を向けた前国会の繰り返しにしてはならない。
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