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「彼だから起こしたとは思っていない」 れいわ木村参院議員が語る相模原殺傷事件

相模原殺傷事件について語るれいわ新選組の木村英子参院議員=東京都千代田区の参院議員会館で2020年1月6日、藤井太郎撮影

 「彼だから事件を起こしたとは思っていない」――。2016年、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で障害者19人が殺害され26人が負傷した事件について、重度の身体障害がある木村英子参院議員(54)=れいわ新選組=はそう語る。木村氏自身も19歳までの大半を施設で過ごし、職員から虐待やいじめを受けてきたという。8日に始まる植松聖被告の裁判員裁判を前に何を思うのか。入所施設がはらむ課題と障害者差別について聞いた。【聞き手・塩田彩/統合デジタル取材センター】

 ――相模原事件の発生を何で知りましたか。

 ◆テレビのニュースで知りました。「ああ、起こってしまった」というのが最初の印象でした。ニュースを見て、自分が施設にいた時の光景や、虐待を受けた時の記憶が頭をよぎりました。とても怖かったし、ひとごとではないと感じました。

 私は横浜市出身で、幼い頃から神奈川県内の医療やリハビリを受ける施設に入所していました。小学校は、同じ敷地内にある養護学校。養護学校高等部を卒業するとみんな当然のように成人向けの入所施設に入れられます。もし19歳の時に思い切って地域に出ていなかったら、自分は「津久井やまゆり園」にいたかもしれない。殺されていたのは私だったかもしれないという思いがあります。

 ――施設ではどのような体験をされたのですか。

 ◆小学生の頃にいた施設では、身の回りの世話をしてくれる看護師による日常的ないじめや虐待がありました。私は食事や排せつ、着替えなどにも介助が必要です。担当の看護師の機嫌が悪そうだなと思うとトイレに連れて行ってほしいと言うのを我慢したり、機嫌の良い看護師が通りかかるのを待ったりすることもありました。

 夜、消灯時間の午後8時が来ても、私だけベッドの上に上げてもらえなかったこともあります。暗闇の中、冷たい床にうずくまって寝るしかなかった。その時どうしてもトイレが我慢できず、ナースコールで呼ぶのも怖かったので、一人で廊下をはってトイレまで行こうとしましたが、結局間に合いませんでした。おもらしをした私を、看護師は「お仕置き」として狭い場所に閉じ込めました。他にも、食事の時間に遅れた時に食事をもらえなかったこともあります。食堂までの長い廊下を矯正靴を履き、松葉づえを使って必死に歩いたけれど間に合いませんでした。

 良い施設もありますよ、と言う人もいます。実際にあるかもしれません。でも、少なくとも私が過ごした施設は、そうではありませんでした。職員との力関係の差のようなものを幼い頃から感じてきました。19歳で自立したのは、もうそんな場所にいたくないと思ったからです。自分でビラをまいて介助ボランティアを見つける地域生活は大変だったけれど、施設を出たことを後悔したことはありません。あそこは、泣いても叫んでも誰も気づいてくれない世界でしたから。

 ――植松被告は津久井やまゆり園の元職員でした。障害者と関わってきた職員が事件を起こしたことは、多くの福祉関係者に衝撃を与えました。

 ◆私は、彼だから起こしたとは思っていないんです。最初は障害のある人を助けたいという思いで施設の職員になる方はたくさんいると思います。でも、施設によっては、決まった時間にご飯が来て、週2回くらいお風呂に入って、それ以外は入所者はほとんどベッドの上か狭いデイルームにいて……。そんな生活を何十年も繰り返していたら、心がだんだん死んでしまう。そんな自由を奪われた人たちの姿をずっと見続けている職員が、過重労働の中、介護を流れ作業のようにやっていく。津久井やまゆり園がそういう施設だったのかは分かりません。でも、希望が見えなくなる閉ざされた世界があるんです。本当に。

 そんな環境で、植松被告のような職員が出てきてもおかしくないと思います。障害のある人を見て、何も意思がないとか、何もできないで人間として生きている価値があるんだろうかと思っている職員の方が、私は今もいると思います。だから、植松被告がおこなったことへの怒りはもちろんありますが、彼のような人が出現してしまう環境への恐怖のほうが強いです。

 地域で生活していても、介助者が一人で長時間介助するということは起こりますが、障害者側が自分でサービスや生活を選べます。事業所にもよりますが、障害者が介助者を探して育て、自分に派遣するということが可能です。施設の…

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残り1844文字(全文3644文字)

塩田彩

大阪府出身。2009年入社。前橋支局、生活報道部を経て19年5月より統合デジタル取材センター。障害福祉分野を継続的に取材しています。好物は児童文学。

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