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記者たちの記憶・阪神大震災25年

阪神大震災が1月17日で発生から25年の節目を迎える。毎日新聞では記者が全国から集結、長期にわたり取材に当たった。東日本大震災が起きるまで、国内では戦後最大だった自然災害から四半世紀を経て、記者が当時を振り返る。

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記者たちの記憶・阪神大震災25年

遺骨が埋まる街で

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家族の遺品を焼け跡で探す女性=神戸市長田区で1995年1月25日、中村琢磨撮影
家族の遺品を焼け跡で探す女性=神戸市長田区で1995年1月25日、中村琢磨撮影

 JR新長田駅のホームから眺めた街は一面焼け野原だった。改札を抜けると「神戸空襲と同じや……」。すれ違ったお年寄りのつぶやきが聞こえた。

 冷たい風が吹いているのに、焼けたビルに体を寄せると暖かい。コンクリート壁の中の鉄筋が、まだ熱を帯びているのだろう。がれきを避けながら歩いていると、「そこに入らないで」という声が私の背中に響いた。

 振り返ると、粉ミルクの空き缶を手に若い女性が立っている。「父の骨が埋まっているかもしれないから」。ここに女性の父親の仕事場があったという。父親はあの日、いつものように午前5時過ぎに自宅を出て、近くの職場に向かった。見送る後ろ姿が最後だった。私も遺骨探しを手伝ったが、燃え残りとの区別がつかない。彼女の空き缶には何も入っていなかった。

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