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社説

やまゆり園事件初公判 凶行生んだ根源の解明を

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 凶行を生んだ根源は何か。障害者差別の根深さを認識し、根絶するためにも、解明が不可欠だ。

 相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で、利用者19人が殺害され、26人が負傷した事件の裁判員裁判が横浜地裁で始まった。

 元施設職員の植松聖(さとし)被告は起訴内容を認め謝罪した。裁判前の本紙の接見には「障害などで意思疎通できない人は社会にいるべきでない」と理不尽な主張を展開していた。

 検察側は冒頭陳述で、被告は施設で働き始めた当初、障害者を「かわいい」と思っていたものの、勤務を経るうち「不幸を生み出す」と考えるようになったと指摘した。

 なぜ被告はゆがんだ考えを抱き、惨劇を引き起こしたのか。裁判は責任能力が争点になる。しかし、施設の状況や取り巻く環境も含めて、経緯を丁寧に審理してもらいたい。

 事件は、過度にエスカレートした差別意識の行き着く先を示した。事件から3年半たっても、障害者が置かれた現状は厳しいままである。

 法廷では被害者を匿名にして、死傷の程度でグループに分け「甲A」「乙B」などと呼ぶことになった。家族の席は仕切り板で区切られる。

 周囲の偏見を恐れる被害者家族に配慮して取られた措置だ。罪もないのに記号で呼ばれざるを得ない事態は、社会のひずみを反映している。

 障害者差別解消法施行から4年近くになるが、障害者団体の調査では差別された体験を持つ人は多い。半面、行政の相談窓口は垣根が高い。

 厚生労働省の調査では、昨年度に虐待を受けた障害者は2403人と最多だった。支援が十分ならば、防げたケースがあったかもしれない。

 住民の反対で施設の建設中止・変更を迫られるケースも相次ぐ。差別禁止をリードすべき中央省庁や自治体が、障害者雇用を水増ししていた実態も明らかになった。

 一方で事件後、障害者の生き方を考える集会が各地で開かれた。当事者たちも実情を語り、思いを発信している。障害者のことを知ることが差別をなくす第一歩だろう。

 郊外の大規模施設から、地域の小規模なグループホームでの生活に移行する人が徐々に増えている。障害者が地域の一員として暮らせるように社会全体で取り組む必要がある。

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