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余録

18世紀の風刺作家スウィフトの「ガリバー旅行記」には…

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 18世紀の風刺作家スウィフトの「ガリバー旅行記」には小人国や巨人国、馬人国などとともに鎖国の日本も出てくる。長崎経由で帰国を企てたガリバーは江戸の「皇帝」に「踏み絵」を免除してくれるよう頼んだ▲オランダ人を装っていたガリバーの求めに、皇帝は踏み絵を拒むオランダ人は初めて見たといぶかしんだが、役人に見逃してやるよう命じる。おかげでガリバーが踏み絵をしていないのを密告した男が逆にむち打ちの刑に処せられた▲奇妙な踏み絵の制度、「皇帝」の専制、残酷な刑、欧州に伝わっていた日本像は小人国や馬人国並みの「不思議の国」だったらしい。一方、こちらの人物が21世紀日本の司法の理不尽(りふじん)を難じたのは、自らの逃亡の正当化のためである▲保釈中にレバノンに逃亡したゴーン被告のベイルートでの記者会見である。予想通り日本の司法は非人道的で不公正だと批判し、事件は日産経営陣と検察が仕組んだ陰謀という主張を繰り返したが、新たな事実や証拠は示せなかった▲日本のメディアの多くを会見から排除し、注目の逃亡方法も明かさずじまいである。つまりは「不条理の国・日本」からの脱出という現代版ガリバー物語を欧米メディアにまくし立て、自らの罪状をうやむやにする腹づもりのようだ▲日本の司法当局が異例の未明の反論をしたのは当然だが、国際世論の綱引きにおける出遅れは否めない。現代の国際的な人権基準における「鎖国」が、欧米で新たなガリバー物語を定着させないか心配だ。

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