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社説

ゴーン被告の会見 逃亡の正当化などできぬ

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 保釈中にレバノンへ逃亡した日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が、現地で記者会見した。

 前会長は、日本の刑事司法を繰り返し批判した。長時間の取り調べや有罪率の高さなどを挙げて、「公正な裁判を受けるチャンスがないから逃げた」と述べた。

 しかし、前会長は日本の刑事法に基づいて罪に問われ、裁判を受けることになった。法廷で堂々と無罪を訴えるべきである。そもそも、会見を開いて主張を展開するのならば、日本でも可能だった。

 刑事司法に問題があるから、不正出国するしかなかったというのは、論理のすり替えでしかない。国外逃亡は正当化などできない。

 会社法違反などの起訴内容について、前会長は資料を示しながら、改めて無罪を主張した。逮捕されたのは、ルノーの影響を払拭(ふっしょく)したかった日産幹部が検察と仕組んだ陰謀だと語った。

 日産幹部に前会長に対する不信はあった。検察と日産関係者の司法取引で捜査が進んだのも間違いない。だが、逮捕・起訴に至ったのは、犯罪の疑いが強まったからである。

 前会長の説明は、日本の弁護団が既に主張している内容を超えるものでない。新事実は示されなかった。

 一方で、前会長は正規の手続きを経ず出国した経緯については、口をつぐんだ。

 会見は2時間半に及び、世界各国のメディアが集まった。前会長は多言語を駆使して熱弁を振るい、会場から拍手が起きる場面もあった。

 半面、「日産や検察の言い分を垂れ流してきた」との理由で、多くの日本メディアを参加させなかった。持論を展開するためのショーと化し、中身に乏しい印象は否めない。

 前会長の会見を受け、森雅子法相は臨時会見を2回開き、東京地検もコメントを出した。日本の立場を世界に発信するのは当然である。

 ただ、前会長の逃亡が発覚した当初、森法相がコメントを出すまでに5日を要した。その間に海外メディアは日本の刑事司法を疑問視した。対応が遅れたといわざるを得ない。

 密室の取り調べや長期勾留など、日本の刑事司法の問題点は以前から指摘されている。これらは前会長の逃亡と切り離して議論すべきだ。

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