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余録

オーストラリアの先住民アボリジニには・・・

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 オーストラリアの先住民アボリジニには、コアラをいじめると干ばつになるという伝承がある。コアラはもともとある部族でみんなの迫害を受けた少年で、彼をあわれんだ精霊(せいれい)がコアラに変身させたのだ▲少年は部族で平等に分けられる水すら親族に取り上げられた。コアラになった後は精霊の加護で水を必要としなくなり、高い木の上で暮らすようになる。人々はこの話からコアラに手を出すと精霊によって水を奪われると語り伝えた▲実際にもコアラはふだん食べるユーカリの葉から水分を補給し、水を飲むのはまれという。そのコアラがペットボトルの水をごくごくと飲む映像を最近よく見るのは、干ばつと猛暑で火災の広がる森林から助け出された個体だからだ▲2カ月前にはやけどを負った瀕死(ひんし)のコアラを救出しながらも結局は安楽死させたニュースもあった。昨年9月からの豪州南東部の森林火災はその後も各地で続き、焼失面積は合わせて1000万ヘクタールを突破、なお終息の気配が見えない▲すでに20人以上の死者も出て、生態系への影響も大きい。コアラは数万匹が焼死、哺乳類や鳥類、爬(は)虫(ちゅう)類など動物の犠牲は10億匹ともいわれる。記録的乾燥で増した火勢は火災旋風、火災積乱雲といった凄絶(せいぜつ)な大気現象ももたらした▲気候変動の時代の大規模森林火災のすさまじさを見せつける豪州の猛火である。人の営みが招いた干ばつが精霊たちの森を焼き尽くす今日、やけどを負い、水を求めるコアラは人類の未来を暗示してはいないか。

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