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今よみがえる森鴎外

/10 すらりと格調高い境地に 史伝ものの文体=作家・林望

史伝小説『渋江抽斎』の初回が掲載された1916(大正5)年1月13日の東京日日新聞(現在の毎日新聞)

 三島由紀夫は『文章読本』のなかで、鷗外の『寒山(かんざん)拾得(じっとく)』から「閭は小女を呼んで、汲立(くみたて)の水を鉢に入れて来いと命じた。水が来た。」を例に引いて、こう述べている。

 「私がなかんづく感心するのが、『水が来た』といふ一句であります。この『水が来た』といふ一句は、全く漢文と同じ手法で『水来(   ル)』といふやうな表現と同じことである。しかし鷗外の文章のほんたうの味はかういふところにある……」

 『寒山拾得』に限らない。また、『追儺(ついな)』の「家が新しい。畳が新しい。畳に焼焦しが一つないのは、此家に来る客は特別に行儀が好いのか知らんなぞと思ふ。兎に角心持が好い。」というような行文を読めば、それが鷗外の文章の特色であったことはよく分かる。

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