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熱狂ゲノム

人間をはじめ全ての生物が持つ遺伝情報「ゲノム」。最先端の研究機関が研究を独占する領域だったが、新技術の登場で医療や食品のほか趣味の世界にまで爆発的に広がろうとしている。この熱狂ぶりはどこに向かい、何をもたらすのか。第1部は自然環境やペットなど身近に迫るゲノム技術の現状を追う。

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ネットで申し込み、唾液送って「がんリスク」検査 千葉大発ベンチャーが新事業

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千葉大発のベンチャー「ゲノムクリニック」の曽根原弘樹医師=千葉県柏市で2019年12月2日、池田知広撮影
千葉大発のベンチャー「ゲノムクリニック」の曽根原弘樹医師=千葉県柏市で2019年12月2日、池田知広撮影

 健康な人を対象に遺伝性の乳がん・卵巣がんの発症リスクを確かめる遺伝子検査で、インターネットで依頼でき、結果の連絡やカウンセリングも医師や専門家と対面しない有料サービスを千葉市の企業が計画し、近く第三者の倫理審査委員会に諮る。了承され次第、年内にもサービスの提供を始めたい考えだ。

 この検査で陽性なら、発症確率は最大7割程度とされる。生物が持つ全ての遺伝情報を指すゲノム。解析技術が進み消費者向け遺伝子検査が広がるが、これほど重大な結果を医療機関を介さず、一度も会わずに伝えるサービスは異例だ。

 千葉大発のベンチャー「ゲノムクリニック」は、2019年4月から「対面式」で同様の検査を提供し、代表取締役の曽根原弘樹医師(36)によると、これまで約50人が利用している。陽性の判定例はまだない。

 新事業では、ネットで受け付けた後に電話などで検査の意味を説明し、検体の唾液を郵送してもらう。遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の原因となる遺伝子変異を調べ、結果を郵送かメールで通知する。利用者の1%程度と想定する陽性なら「病原性あり」と提示。電話などで臨床遺伝専門医らのカウンセリングを受けてもらい、提携医療機関か遺伝診療部のある病院を紹介する。

 厚生労働省によるとこのようなサービスは、医師の判断がなく機械的に判定することなどから、医療行為に該当しない。政府は、ネットなどを通じて医師の診療を受けることができるオンライン診療も原則的に「初診は対面」と定めるが、この計画は規制対象外だ。

 曽根原医師は「予防医療や早期発見につなげ、多くの命を救いたい」と語る。2年以内に1回の検査で遺伝性の心疾患や高コレステロール血症など27疾患を判定できるようにする計画だという。がんの可能性の判定という「限りなく医療に近い遺伝子検査」は、何をもたらすのか。

医療と…

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