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将棋

第78期名人戦A級順位戦 木村一基王位-佐藤天彦九段 第29局の5

パンチをかわす

 「何やってんだろうね。愕然(がくぜん)としましたよ」と感想戦で木村は自分に呆(あき)れていた。木村は図から[後]3一銀と引かれる手をうっかりしていたのだった。後手陣に打ち込んだ角は成り返る場所を失い、次に[後]2二金と引かれて捕獲される手を受けることすらも難しい。

 「呆れたよもう……。ああ~もうひどいね。家に帰ってビールでも飲もうかと思ったよ。縁台将棋だよ。もうどうしようもないもの……」と木村は感想戦でおどけて周囲を笑わせたが、冗談ではなく真剣に投了も考えていた時間だったかもしれない。木村は30分の苦慮で[先]1二角成!という角タダ捨ての勝負手をひねり出した。飛車の打ち込み場所を作るための、涙、涙の邪魔駒消去である。

 佐藤は[先]2一飛の打ち込みに、指先で髪をくるくると巻きながら慎重に21分考えて[後]3二銀と立ち、[先]3一飛成に[後]4一銀と引いた。この銀の動きはプロボクサーがダッキングやウィービングで華麗に相手のパンチをかわしていく様を連想させた。きわどそうに見えるが、パンチを確実にかわせると見切った動きだ。

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