メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

今週の本棚

山崎正和・評 『破滅者』=トーマス・ベルンハルト著、岩下眞好・訳

 (みすず書房・6050円)

 「わかる」ことは、人を孤独にする。わからないすべての他人を敵に廻(まわ)し、わかり知る密室に閉じこもることになるからである。

 とくにわかる対象が自然物ではなく、人間の知恵や才能である場合、事態は致命的な悲劇となる。他人の優越がわかればわかるほど、人は自分にはそれができないことが切実にわかり、自分自身をも見下して、孤独を深めるほかはない。

 もっと悪いのは、しばしばわかる人は当面の好悪の対象だけでなく、あらゆる世事について独特の趣味判断を抱くことが多い。音楽の深奥をわかる人は、万事につけてあたかも音楽を聞き分けるかのように、とかく過度に繊細で狷介(けんかい)な態度をとりがちになる。

この記事は有料記事です。

残り1163文字(全文1470文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. ラグビー元日本代表、湯原祐希さん死去 36歳 トレーニング中倒れ

  2. 岸田氏、古賀氏と決別決意? 派閥パーティー招待せず 総裁選対応に不満

  3. 「サカキバラとは違う。必要に迫られて」 座間事件9人殺害・白石被告一問一答(その1)

  4. 暴走のトランプ氏か言葉に窮するバイデン氏か 「史上最悪」醜態のテレビ討論会

  5. 新型コロナ 市町村別感染者数 /千葉

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです