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堀江敏幸・評 『一日の光 あるいは小石の影』=森内俊雄・著

 (アーツアンドクラフツ・4180円)

 「三十余年」のあいだに発表された百九十篇ほどの散文がならぶ、伽藍(がらん)のような大著である。全体は四章からなり、編年ではなく主題が互いに近接するよう構成されていて、重層的な相互の響きあいが美しい。

 最も大きな部分を占めるのは、聖フランシスコ修道会の機関誌『聖母の騎士』に二〇〇八年七月から二〇一八年九月まで、月に一度書き継がれた短い散文を収める第三章。あとがきには、まずここから目を通していただきたいと記されているのだが、その勧めに従わず、冒頭から順に読んでいっても、著者の来歴と現在地は十分に把握できる。

 扱われる主題は多岐にわたる。少年時代に体験した神隠しのような思い出、大阪大空襲とそれにつづく疎開先の徳島市での二度目の空襲の記憶、編集者時代(冬樹社で『坂口安吾全集』を担当した)の労苦、クラシック音楽とオーディオへの愛。家族、闘病、俳句、書道に老い、そして信仰。これらが波のように繰り返しあらわれるのだが、行間に差し込む光の角度が異なるため、おなじ素材であっても、影の濃淡や輪郭に微妙な変奏が生まれ…

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