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広河隆一氏性暴力問題 被害者がデイズ社に慰謝料請求 「加害責任取っていない」

広河隆一氏による性暴力問題を巡り謝罪を掲載した月刊誌「DAYS JAPAN」2019年2月号

 私たちの告発を無駄にしないで――。月刊誌「DAYS JAPAN」元発行人でフォトジャーナリストの広河隆一氏(76)から複数のスタッフが性暴力やパワーハラスメントを受けた問題で、被害者の1人が7日、発行元のデイズジャパン社に対し、慰謝料など400万円の損害賠償を請求した。弁護士らによる検証委員会が昨年末に被害を認定する報告書を公表したことを受けたもので、被害者らは「加害者が責任を取らずに終わったという前例を作りたくない。再発防止に生かしてほしい」と訴える。専門家は「今回の動きは、ハラスメント対策における一つのモデルケースとなる。あらゆる企業や教育現場などが教訓を得るべきだ」と強調する。【中川聡子/統合デジタル取材センター】

 検証委員会のメンバーは労働ジャーナリストの金子雅臣氏と、上柳敏郎、太田啓子両弁護士の3人。報告書によると、セクハラの被害者は、社員やインターン生、同社が企画した講座「フォトジャーナリズム学校」受講生など延べ17人に及び、性交の強要など深刻な被害は20代前半のボランティアやアルバイトに集中していた。

 具体的には、同行した海外取材先で連日性行為を強いられた▽「写真を教えてあげる」とホテルに呼ばれ性行為をされた▽叱責後にホテルに連れて行かれた▽裸の写真を撮られた▽抱きしめられ指をなめられた――などの被害が認定された。

 賠償請求した女性は「これだけの問題を起こしながら、加害者は何も責任を取らずに終わった、で済ませたくないという一心です」と話す。広河氏個人への請求でない理由について「報告書を読むと、広河氏はいまだに謝罪せず『合意の上の行為だった』と2次加害を繰り返しています。全く信用できません。私が賠償請求したことを知られたら、どういう行動を起こすか分からず恐怖心を抱いています」と説明。「ハラスメントはあらゆる組織で起こりうる問題。個人の責任に矮小(わいしょう)化せず、会社が責任を取るべき問題であることも広く訴えたいです。被害者が改めて傷つかないですむ形で、対応していただくことを願っています」と話した。

 ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBS記者の山口敬之氏から性暴力を受けたとして損害賠償を求め、勝訴したことにも背中を押されたという。「検証委にも被害を訴え出られなかった方が多くいると聞いています。こうして行動を起こすことで、あなたは一人じゃない、というメッセージを送りたいんです」

パワハラ告発者「無駄にしないで」

 これを受け、毎日新聞に実名でデイズジャパン社の労働環境を告発した元社員の宮田知佳さんは自身のツイッターに「性被害がまかり通る世の中にしないための、とても勇気ある重要な一歩」と応援するメッセージを投稿した。

 宮田さんは報告書について「広河氏は加害行為を認めないばかりか、被害者意識を募らせていることが分かり、改めて怒りがわきました」という。パワハラについて「本当に怖いのは、人生を中断させられること。夢を抱いて就職した会社で人格否定や給与不払いといった激しいパワハラを受け、辞めた後も自分が何者か分からなくなり、次へ進む気力が奪われた状態でした。今も報告書を読むだけで、動悸(どうき)がして負担を感じます。被害は会社を辞めれば終わるものではありません」と指摘。「私たちの告発を無駄にしてほしくありません。どんな組織にも起こりうる問題として、ハラ…

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中川聡子

2006年入社。千葉支局、東京・社会部、生活報道部を経て、統合デジタル取材センター。生活報道部では、社会に根強く残る性差別を追った年間連載「ガラスの天井」取材班として、16年貧困ジャーナリズム賞。ジェンダーや家族、差別に関わる問題を中心に取材を続けている。

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