メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

余録

国道から細い道にそれて山へと向かう…

[PR]

 国道から細い道にそれて山へと向かう。小さな池を過ぎ、雑木林に入ると鳥居のようにしめ縄で結ばれた2本の石柱が建つ。松江市の郊外に黄泉(よもつ)比良坂(ひらさか)はある。古事記によれば、この世とあの世との境界だ▲北川景子さんが主演した映画「瞬(またたき)」のロケ地になった。恋人の男性とバイクで花見に出かけた帰り。トラックとの事故で女性だけが助かり、記憶も失う。最後の瞬間、何が起きたのか。そしてなぜ自分だけが生き残ったのか▲愛する者を亡くした時、人は悲しみのあまり、「なぜ」と問い続ける。東日本大震災や各地の災害でも、その思いに胸を締め付けられる人は多い。だが、先立った人は残された人を悲しませるだけではない▲17日で発生から25年になる阪神大震災。亡くなった神戸大生の加藤貴光さん(当時21歳)が生前、母に宛てた手紙は、息子を失った母をどれほど支えたことか。<私はあなたから多くの羽根をいただいてきました。人を愛すること、自分を戒めること、人に愛されること……><住む所は遠く離れていても、心は互いのもとにあるのです>▲亡くなった人に手紙を届けたい人もいる。黄泉比良坂には地元の住民が作ったポストが置かれている。「天国(黄泉(よみ)の国)への手紙」を送るためだという▲手紙をしたためれば心が癒やされることもある。天国に届かなかったとしても。いや、届くと信じたい。一瞬でもいいから、もう一度だけ。そう手紙に託す人にとって、震災の風化という言葉は永遠に無縁だ。

    おすすめ記事
    広告
    毎日新聞のアカウント
    ピックアップ
    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 日大ラグビー部員を大麻所持容疑で逮捕 部は無期限活動停止に

    2. 7カ月乳児が9階から転落死 母親と訪ねた大阪の市営住宅から

    3. センター試験中スマホ取り出し見つかる 「わからない問題検索しようと」 全科目成績無効

    4. 河井案里議員が登院「区切り付いたら説明したい」

    5. 神戸・須磨の建設会社で発砲か ガラス戸に穴

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    今週のおすすめ
    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです