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阪神大震災25年/中 転居後、待っていた孤独 人情あった復興住宅、退去迫られ

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借り上げ復興住宅から転居し、市営住宅で1人暮らしをする坂上久さん=神戸市中央区で2020年1月11日、木葉健二撮影
借り上げ復興住宅から転居し、市営住宅で1人暮らしをする坂上久さん=神戸市中央区で2020年1月11日、木葉健二撮影

 「ここには誰もきいへん」。中高層の5棟が建ち並ぶ神戸市中央区の市営住宅。1DKの部屋に坂上久さん(84)は1人で暮らす。仮設住宅を経て、たどり着いた2カ所目の「終(つい)のすみか」。以前の復興住宅では世間話に花を咲かせたが、ここでは誰とも話さずに1日が過ぎていく。「さみしくなったわ」

 阪神大震災で住んでいた神戸市東灘区の文化住宅が全壊。仮設住宅から1999年、同市中央区にある復興住宅に移った。高齢者50世帯ほどの住宅で、比較的「若手」だったこともあって、まとめ役を任された。3カ月間、朝から晩までロビーのソファに座って入居者に「おはよう」「こんにちは」と声をかけた。エレベーターや廊下にゴミが落ちていれば、進んで片付けた。

 やがてロビーは入居者がテーブルを囲んで将棋をしたり、お酒を飲んだりする「社交場」に。「どこで被災したの?」「そんなにやせて大丈夫かいな?」と震災で家を失った者同士がいたわり合った。「ここに住んで良かった」と言ってくれた人もいた。

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