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第162回芥川賞に古川真人さんの「背高泡立草」、直木賞に川越宗一さんの「熱源」

記者会見で記念撮影に応じる芥川賞を受賞した古川真人さん(右)と直木賞を受賞した川越宗一さん=東京都千代田区で2020年1月15日午後7時28分、吉田航太撮影

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 第162回芥川・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞に古川真人さん(31)の「背高泡立草」(すばる10月号)、直木賞には川越宗一さん(41)の「熱源」(文芸春秋)が選ばれた。古川さんは4回目、川越さんは初めての候補での受賞。贈呈式は2月下旬、東京都内で開かれ、正賞の時計と副賞の100万円が贈られる。

 古川さんは福岡市生まれ。国学院大文学部中退。2016年のデビュー作「縫わんばならん」以来、「四時過ぎの船」「ラッコの家」で芥川賞の候補入りを繰り返してきた。

芥川賞に受賞が決まった古川真人さんの「背高泡立草」(集英社)

 九州に位置する、ある「島」の一族の物語を書き続けている作家だ。自身の親族のルーツが島にあることを反映しているという。受賞作も「島」が舞台。会社員の大村奈美は、母の実家の納屋周辺の草刈りをするために島に向かう。親族に話を聞くうち、戦争や捕鯨など、島を取り巻く歴史が立ち上ってくる。時空が行き来し、不思議な読後感を残す。

 川越さんは大阪市出身。龍谷大文学部中退。太閤秀吉による朝鮮出兵の時代を描いた「天地に燦(さん)たり」で18年に松本清張賞を受賞し、作家デビューした。会社勤めをしながら執筆活動を続けている。

直木賞に受賞が決まった川越宗一さんの「熱源」(文芸春秋)

 受賞作は近代を舞台にした歴史長編。実在した樺太(サハリン)出身のアイヌと、サハリンに流刑となったポーランド人を軸に、時代や文明に翻弄(ほんろう)される人々の姿を、壮大なスケールで描き出した。【須藤唯哉、大原一城】

 芥川賞選考委員・島田雅彦さんの話 長崎・平戸とおぼしき場所を舞台とする作品群の一つだが、語り口が読みやすいものになっていた。土地に根付いた歴史的重層性を巧みにすくい上げている。時空を超えたエピソードも織り込まれ、これまでの作品と毛色が変わっていた。このサーガ(一族の物語)の拡大に期待が持てる。

 直木賞選考委員・浅田次郎さんの話 近年まれにみるスケールで小説世界を築き上げ、登場する人物も生き生きと魅力的に描いている。アイヌ以外の少数民族の苦悩や絶望が十分に描かれているかは議論になったが、難しい資料を広範囲に読み込み、資料に負けずに小説らしい小説として再生産している。志の高さを感じた。

 
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