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社説

阪神大震災から25年 継承したい安心への思い

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 6434人の犠牲者を出した阪神大震災の発生から25年となった。

 二十数万棟の家屋が全半壊し、高速道路の倒壊やライフラインの途絶など甚大な被害をもたらした。大震災は従来の「安全神話」を覆し、防災の常識を大きく変えた。

 問われ続けたのは、住まいや仕事を失った被災者が生活基盤を回復することができたのかという点だ。残念ながらその面では、まだ道半ばの状態だと言わざるを得ない。

 確かに、街の再建や道路の整備などハード面の復興は進んだ。大火に見舞われた神戸市長田区には再開発ビルが林立し、被災地復興のための全ての再開発事業が近く終了する。

 だが、表面的に街の姿が再現されても、そこに住む人々の暮らしの復興にむすびつかなければ意味がない。再開発計画は被災者の声がほとんど反映されないままに進められ、街のにぎわいは取り戻せていない。

 大震災が破壊したのは建物だけではない。被災者は避難先で近所づきあいが少なく、孤立感を深めた。地域コミュニティーが分断され、災害関連死や孤独死が社会問題化した。

 住まいの不安は今も残る。民間借り上げ復興住宅では入居者が自治体から転居を求められている。

 阪神大震災以後、日本列島は地震活動期に入ったとされ、東日本大震災などの大規模地震が続発した。

 阪神大震災の教訓が後の災害での対応に生かされたケースもある。

 阪神大震災の被災者らでつくるNPO法人は「悲劇が繰り返されぬように」との思いから、東日本大震災の被災者らと交流を続けている。

 災害が発生する前から備えをしておく「事前復興」の考えも生まれた。東日本大震災では、内陸などへの集団移住前から住民がまちづくりの方針を話し合った自治体もあった。

 阪神大震災当時と異なり、日本は人口減少や高齢化が進む。災害復興のあり方も見直しを迫られている。

 大震災から四半世紀がたち、当時生まれた子どもは社会人になっている。被災自治体でも震災を経験していない職員が半数以上を占める。

 近い将来、南海トラフ地震や首都直下地震が高い確率で起きると想定されている。被災者たちの安心への思いを継承し、大震災の記憶を若い世代に伝える取り組みが必要だ。

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