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阪神大震災25年

高度成長を遂げた大都市をマグニチュード7・3の地震が襲い、6434人が死亡、二十数万棟の家屋が全半壊した阪神大震災が、2020年1月17日で発生から25年を迎えた。

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阪神大震災25年

最後に語った夢、父子の証しの洋食店が10周年 東灘区の板倉哲也さん

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自分の店のカウンター席に座る常連客に料理を出す板倉哲也さん=神戸市東灘区で、小松雄介撮影
自分の店のカウンター席に座る常連客に料理を出す板倉哲也さん=神戸市東灘区で、小松雄介撮影

 神戸市東灘区で洋食店を営む板倉哲也さん(49)は、阪神大震災で父輝行さん(当時57歳)を亡くした。父との約束で始めた店はこの冬、開店10周年を迎えた。震災の約1カ月前、父は「脱サラ宣言」する息子に独立することの厳しさを説きながら、背中を押してくれた。17日早朝、仕込みを終えて東遊園地(神戸市中央区)を訪れた板倉さんは、父の名が刻まれた銘板に触れ、語りかけた。「店の経営は浮き沈みが激しいけど、なんとか10年もったで」

 輝行さんは長田の靴職人だった。小学校しか出ていないが、自分の工場を持つまで成功した。しかし、板倉さんが生まれる前、経営難で工場を失い、多額の借金を抱えた。小学校の用務員に転じ、母チヅルさんも飲食店のパートを掛け持ちした。1989年にチヅルさんががんのため44歳の若さで亡くなると、男手一つで1男2女を育てた。「学がないと困るぞ」と板倉さんを山口県の私立大に進ませてくれた。

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