地球史の境界「最後の地磁気逆転」明瞭な痕跡、世界が認定 「チバニアン」決定

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 46億年に及ぶ地球の歴史の一ページに、日本の地名が初めて刻まれた。千葉県市原市の地層が中期更新世(77万4000~12万9000年前)を代表する地層として認められ、地質時代「チバニアン」が決まった。特殊な条件がそろった「時代の境界」を明瞭に浮かび上がらせた歴年の研究の積み重ねが結実した。【池田知広、上遠野健一】

「スポットライトを当てたよう」優れた分析技術も貢献

 「77万年前の様子がスポットライトを当てたように分かる地層だった。幸運が積み重なった」。チバニアン認定の根拠となった、養老川沿いの露出した地層「千葉セクション」について、研究チームを率いる岡田誠・茨城大教授は言う。

 地球は、N極とS極が入れ替わる自然現象「地磁気逆転」を直近の360万年の間に11回起こしてきた。国際学会「国際地質科学連合」は、「更新世」の前期と中期の境界を、約77万年前に起きた「最後の地磁気逆転」付近の地層にすると2004年に決めていた。

 千葉セクションには、この「逆転」の記録が明瞭に残る。77万年前は深さ約700メートルの深海だったが、その後隆起して今の地形になった。岡田教授によると、この場所には関東山地や火山の多い伊豆半島方面から泥が流入して堆積(たいせき)。泥に含まれるマグマ由来の磁鉄鉱が当時の地磁気をとどめており、分析が可能だった。

 また地磁気逆転の「直前」となる77万4000年前には御嶽山(長野・岐阜県境)が噴火。千葉セクションは、火山灰層がくっきりと見られることも特徴だ。今回境界となる国際模式地も、この火山灰層に指定された。

 認定には、正確に時期を特定した「放射年代測定」という優れた分析技術も貢献した。

 国立極地研究所の菅沼悠介准教授らは12年、この火山灰から、マグマが冷える時に作られる鉱物のジルコンを約300粒抽出。ジルコンには高精度な年代測定ができる放射性ウランが含まれ、噴火の時期が特定できた。最後の地磁気逆転はそれまで78万年前が定説だったため、大きな発見だった。さらに岡田教授らが海中の微生物「有孔虫」などの化石の殻に含まれる酸素の重さを調べることで、当時は氷期ではなく温暖な間氷期だったと知ることもできた。

 こうした①地磁気逆転②放射年代測定③氷期・間氷期――の三つの特徴を押さえることで、千葉セクションは時代の境…

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