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渡邊十絲子・評 『薪を焚く』=ラーシュ・ミッティング著、朝田千惠・訳

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 ◆薪(まき)を焚(た)く

 (晶文社・3630円)

「こころのふるさと」への愛着を熱く語る

 ノルウェー人の常なのかは知らないが、この本の著者は薪について語り出したら止まらない。彼の頭のなかには、薪にまつわる多種多様な知識がぎっしり蓄えられている。薪の材料にふさわしい木はなにか、どうやって伐(き)り、どんなサイズに割るのがよいか、割ったものを積み上げるときの作法、焚くときの作法など、すべては軽々しく語れない大テーマなので、いきおいずっしりと重厚な本が生まれる。

 薪は時代遅れかもしれない。しかしノルウェーとデンマークでは、薪の消費量は一九七六年から現在までに一〇倍に増えている。自宅に光ケーブルを引き最新のパソコンをもっている人々が、いまなお薪を焚いているのだ。薪文化が息をふきかえした理由について著者はいろいろな角度から分析しているが、凍死の危険がある寒冷地に住む人々にとって、電力供給が断たれたら暖房ができない住宅で暮らすことなど考えられないのは、日本人に…

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