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サンデー毎日発

河合塾 駿台 東進 ベネッセ 「難関大」学科別最終難易度 国公立大編

最後の大学入試センター試験を迎え、雨が降るなか会場に向かう受験生ら=東京都文京区の東京大学で2020年1月18日

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入試改革の「迷走」転じて…「準難関」に志望が戻るか!?

 大学入試改革の後退は、2021年(21年4月入学)はもちろん、20年入試に臨む受験生に大きな影響を与えそうだ。浪人して新テストを受けたくないという心理から「安全な大学」を選ぶ現在の傾向が、変わる可能性がある。

 最後のセンター試験世代となる20年入試の国公立大志望者は、浪人すると、国語と数学の記述式問題と英語民間試験がセットになった大学入学共通テストを受けなくてはならなかった。そのため、浪人をしたくないと考える受験生が多く、安全志向が強まっていた。

 共通テストの“2本柱”が折れた格好だが、国公立大志望者の安全志向にさほど大きな変化は見られない。昨年11月1日に萩生田光一文部科学相が英語民間試験の活用延期を発表した後に実施された模試の志望動向を見ながら、ベネッセコーポレーション・学校カンパニー教育情報センター長の谷本祐一郎さんは、こう話す。

 「国公立大の志望者指数は94(前年を100とした時の数値)。旧7帝大に東京工業大、一橋大、神戸大を加えた難関国立10大学の指数も95と減少しています。ただ、偏差値帯別に志望状況を見ると、特にチャレンジ層(自己の学力より高いレベルの大学を目指す層)の減少が顕著なため、難易度に影響を及ぼすとは言い難い。これらの大学の中では一橋大の志望者の減り方が目立ちます。同大を志望するレベルの受験生の目が東北大の文系学部に向いているようです」

難関国立大の志望動向

 「難関国立大の志望動向」では、北海道大、名古屋大、大阪大、九州大が前年の志望者数を上回っている他、東大や京大を含む6大学で減少している。ボーダーライン上の受験生が志望を下げていることが大きな要因で、相応の学力レベルにあるコアの層は減っていないという。

 それでも、倍率が下がる分、合格の可能性が高まっていることは間違いない。全体として志望者が減っている難関国立10大学の中で、特に倍率が大きく下がりそうな大学には、谷本さんが指摘した一橋大に加え、東京工業大がある。駿台教育研究所・進学情報事業部長の石原賢一さんは言う。

 「文理融合の学際系の学びが求められる中、単科大学という点が志望者が増えない一因でしょう。東京工業大の場合は、前年に志望者が大きく増えた反動もあると思います」

 学部系統別の志望状況からも、学際系に注目が集まっていることが分かる。河合塾・教育情報部統括チーフの亀井俊輔さんは、こう話す。

 「情報や環境、人間系といった学際系学部の志望者が増えています。難関大の志望者も多く、名古屋大・情報や京大・総合人間、大阪大・人間科、神戸大・国際人間科、九州大・共創などで増えています。志望者には成績上位層が多く、医学部を除くと、一番厳しい学部系統と言えます」

 20年入試で注目が集まる学際系の中でも、人気が高まっているのが情報系。東進ハイスクール・広報部長の市村秀二さんは、志望者が集まりそうな大学について、こう話す。

 「名古屋大・情報は17年開設の比較的新しい学部ですが、20年入試ではさらに難易度が上がることでしょう。長崎大が工学部の情報工学コースを改組して設置する情報データ科や既存の滋賀大と横浜市立大のデータサイエンスも難化が見込まれています」

「文理」を区別しない試験の傾向が強まる

 一般的に文系学部に分類される経済・経営・商学系で理系の素養を問う傾向が強まるのも、学際的な学びが求められているから。東北大・経済は20年入試から、数Ⅲまで受験範囲に加えた理系入試を実施する。経済学に数学の知識は不可欠。「入試科目に入っていない方がおかしい」と指摘する大学関係者は数多くいる。総合問題の導入など、今後も文系と理系を区別しない入試の傾向は強まっていくと見られている。

 難関だけでなく、国公立大全体の学部志望動向に注目すると、経済・経営・商学系、法学系や人文科学系など文系学部の大半で志望者が減っている。その中で唯一、社会系は前年を上回っている。理系学部では理学系は前年並みだが、工学系や農・水産系は減少傾向。医療系では歯学部は前年並みだが、薬と医学部(医学科)は志望者が大幅に減っている。

 ところで、英語民間試験の活用延期の影響は、発表直後に行われた模試の志望動向からは見えなかったが、その後、記述式問題の導入延期も発表された。受験生の安全志向は薄まらないのだろうか。大学入試改革の後退が20年入試に与える影響について、駿台の石原さんに聞いてみた。

 「英語民間試験のスコアや記述式問題の導入に対し、難関大志望者の多くは気にしていなかったと思います。入試改革の影響は準難関大志望者に色濃く、志望を下げたり、もしくは私立大に変えたりする受験生の影響で、準難関大の志望者の減少幅が大きかった。現時点で大きな動きは見られませんが、センター試験の平均点が上がると、入試改革バイアスがかかっていた準難関クラスに志望者が戻り、志望者が増える可能性があります」

 筑波大や千葉大、横浜国立大、新潟大、広島大、熊本大、大阪市立大など、準難関国公立大は、難関国立大以上に安全志向が顕著。前期の志望動向を見ると、前年並みを維持しているのは、岡山大や東京都立大、大阪府立大の3校で、それ以外の大学は全て前年を下回っている。現時点では倍率低下傾向が見込まれるが、変わる可能性があるということだ。特に、首都大東京から名称変更する東京都立大は潜在的に人気が高く、出願時に大きく動く可能性がある。

 英語民間試験の活用や記述式問題の導入に関する制度上の不備は、早くから指摘されていたこと。20年入試に向かう受験生にとって、受験勉強が追い込みに差し掛かった時期の発表は迷惑な話。もっと早く決めてほしかった、というのが本音だろう。すでに決めている志望校を変えるのは難しい。

 それでも、共通テストの負担が軽減され、浪人することの過度の懸念という重しがとれたことは事実。チャレンジしやすくなった受験環境を前向きにとらえ、入試本番に向かいたい。【大学通信・井沢秀】

*2020年1月26日号より転載。各大学の学科別の難易度は実際の紙面で確認してください。

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