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阪神大震災の発生から25年が過ぎた。日本はその後も東日本大震災や、豪雨災害などに相次いで見舞われた。大規模な人災も経験し、多くの非業の死と向き合ってきた。
大切な人と死別し、悲嘆の日々を過ごす人々に社会はどう寄り添っていけばいいのか。
「心のケア」への社会的な関心は1995年1月の阪神大震災を機に高まった。PTSD(心的外傷後ストレス障害)など、なじみがなかった心理学の専門用語が知られるようになった。
震災で家族を亡くして心の安定を失う被災者に対し、全国から来た精神科医や臨床心理士が診療や相談に当たった。
深い喪失感に苦しむ人を支える「グリーフケア」という言葉が広く知られるようになったのは、2005年4月に起きたJR福知山線の脱線事故がきっかけだった。
事故を起こしたJR西日本は教訓を後世に生かす目的で公益財団法人JR西日本あんしん社会財団をつくった。その財団の寄付によって事故の遺族らへのグリーフケアを専門とする教育研究機関が上智大に設置されている。
教育研究機関は研究会の開催、著作の刊行のほか、専門的な知識で遺族らを支援する人材の育成講座を設けている。その意義は大きい。
11年3月の東日本大震災では、僧侶たちがグリーフケアに携わり、注目を集めた。
その一つが、軽トラックに喫茶店の道具一式を詰め込み、被災地を巡ってコーヒーを無料で提供しながら被災者の話を聞くボランティア活動だ。死者を悼みつつ、生き残った人に寄り添った。
かつては地域社会がその役割を担っていた。葬儀を地域コミュニティーが取り仕切り、遺族を慰め、支えていた。しかし戦後、都市部へ人口が流出し、核家族化が進んで地域社会の絆も弱くなった。
今後、民間の活動に対する行政の支援が一層必要になるだろう。
米国では80年代以降、航空機事故が相次ぎ、家族の心身のケアをするための「航空災害家族支援法」ができた。その後、鉄道事故を対象にした法律も整備された。日本も学ぶべき点は多い。
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