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学校とわたし

極貧から救ってくれた先生=鉛筆画家・木下晋さん

インタビューに答える画家の木下晋さん=東京都千代田区で2020年1月7日、内藤絵美撮影

 終戦2年後、富山に生まれた私は食うや食わずの極貧家庭に育ち、5歳のころ、二つ違いの弟が餓死しました。父はとび職で留守が多く、母は兄を連れて放浪を繰り返していました。小学4年のころ、母を追って街をさまよい、空腹に耐えられずパン屋でコッペパンを盗み、その場で捕まりました。

 施設に保護された私を連日校長先生が訪ねてくれました。その熱意に心を開いた私に、1冊の本をさりげなく置いて帰りました。タイトルは「ああ無情」。ビクトル・ユーゴーの「レ・ミゼラブル」の児童向け翻訳書です。パンを盗んだ主人公ジャン・バルジャンが成長して市長になる物語を、「僕とそっくりだ。すごいぞ」と泣きながら読みました。「こんな僕でも立派な人になれるかも……」。希望の灯が幼い私の心にともったのです。

 富山市立西部中に進み、2年の1学期終了時、美術の河西(旧姓清水)修子先生から「木下君、夏休みも学校に来て彫刻をしてみない?」と声をかけられました。しかも「昼にはラーメンをごちそうする」と。生活保護家庭の子にとって、給食のない夏休みは「昼抜き」を意味します。願ってもない提案でした。完成した彫刻に才能を感じたという河西先生は、富山大の恩師である大滝直平助教授(当時)の美術教室に私を連れて行ってくれま…

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