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新聞記者、銃をとる

この連載で狩猟の醍醐味(だいごみ)を味わおうとか、ましてハンターの英知を学ぼうと考えている人には、期待を裏切ること間違いない。しかし、ハンターの世界を少しのぞいてみたい、悪戦苦闘のエピソードを楽しみたいという人にはぜひ、お付き合いをお願いしたい。

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新米猟師奮闘記/26 カモは忍者、シカもドロン /滋賀

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作画=マメイケダ
作画=マメイケダ

 「あれっ、消えた」

 狩猟をしていると、ときどき、獲物が消えたとしか思えない事態に出くわすことがある。「確かに今、そこにいたはず」と首をかしげて、そこら中を見回すのだが、発見できない。

 今年もすでに2度、そんな目にあった。いずれもカモだった。最近の私の狩猟方法は、カモを発見してもすぐには近づかず、いったんは撤退して、まずカモの死角に入るようにしている。例えば、150メートルほど先の川面にカモが浮いているのを見つけたら、いったん、川から遠ざかり、堤防の盛り上がりでカモからは見えないところまで離れてしまう。そしてその距離を保ちながら、川と平行に歩き、カモのいる辺りまで来てから、腰をかがめ、改めて川に近づいていく。本当は兵隊のようにほふく前進すればいいのだが、現場が田んぼのことも多いので、さすがにそこまではできない。そして、堤防越しにカモが見えるところまでくると、もうカモとの距離は20~30メートルしかない。そこで狙いを定めて撃つという作戦だ。

 この作戦はこれまで、かなりの成果をあげた。カモは恐ろしく目がいいものの、音にはそれほど敏感ではないらしく、ガサ、ゴソと草をかき分け、近くへ回り込むのだが、私の姿が見えない限り、頭をもたげるまで飛び立たずに浮いていることが多い。カモ猟を3年してきて編み出した私の得意技だった。

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