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本はともだち

「知る」ことから友情育んで 異文化テーマの児童書が続々出版

「となりのアブダラくん」を手にする著者の黒川裕子さん=東京都文京区で2019年12月20日午後4時17分、山寺香撮影

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 仕事や観光のため来日する外国人が増加し、子どもたちが学校や地域で接する機会も増えている。世界的には難民問題が注目される中、異文化理解をテーマにした児童書が相次いで出版されている。共通するのは、「知る」ことで誤解や偏見をなくし、理解と友情を深めようとする視点だ。【山寺香】

 2019年11月に出版された「となりのアブダラくん」(黒川裕子作、講談社)は、小学6年生の男の子・ハルが主人公。ある日、パキスタンからやってきた転校生、アブダラ君のお世話係を命じられる。ハルは、毎日決まった時間にお祈りをする、食べられない食材がある、といった文化や生活習慣の違いに驚き、時に誤解から衝突する様子も描かれる。

 著者の黒川さん(40)は、ハルのように身近に海外出身の友人を迎える経験をする子どもたちが増えていることから、外国人支援に取り組むNPOやモスクなどを取材して作品を書いた。自身が高校時代にカナダへ留学した際、英語が流ちょうに話せないためにクラスメートから幼児扱いされるなど、悔しい体験をしたという。「異国で自分らしく生きられず苦しい思いをする子どもたちの気持ちが分かる」と言い、「上から『差別はやめよう』と訴えるのではなく、違いを理解し認め合うことで、より豊かに楽しく生きられるということを伝えたかった」と作品に込めた思いを語る。

 物語では、人とは違う趣味を友人に知られることを恐れるハルや、生まれつき髪の色に特徴がありいじめられた経験がある女の子も描かれる。「人と違うことに生きづらさを感じるのは、どこでも誰にでも起こりうる普遍的なテーマ。友人になるために大切なのは特別なことではなく、目を合わせ、相手の気持ちを考えるという当たり前のこと」と、黒川さんは話す。

「戦場の秘密図書館」(左)と「故郷の味は海をこえて」=2020年1月15日午後0時25分、山寺香撮影

 同年12月出版の「戦場の秘密図書館~シリアに残された希望」(マイク・トムソン著、小国綾子編訳、文渓堂)は、シリア内戦下で政府軍により封鎖された町ダラヤで、地下室に秘密の図書館を作り本を読むことで絶望的な状況を生き抜いた人々を描いたノンフィクション。英BBC放送の特派員記者が、わずかにつながるインターネットを使って取材した。本を通して未来への希望をつないだ若者たちの姿を通して、遠くの国であるシリアや難民問題を、身近に感じることができる。

 「故郷の味は海をこえて~『難民』として日本に生きる」(安田菜津紀著・写真、ポプラ社)は同11月刊行。さまざまな事情でシリア、ミャンマー、ネパールなどの故郷を追われ、日本で「難民」として生きる人々の思いと暮らしを「食」を通して紹介する。命の危険から逃れて難民になるという状況は、日本で暮らしていると想像しにくい。しかし、人々が大切にする故郷の味や、家族で囲んだ温かい食卓の風景を知ることで、自分たちとの違いではなく、共通する部分が浮かび上がってくる。

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