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社説

豪州の森林火災 地球環境への打撃は深刻

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 オーストラリアで森林火災の被害が拡大している。焼失面積は推定約17万平方キロと日本の国土面積の半分近くに達し、昨年の南米アマゾン火災の規模を上回った。

 消火に当たる消防隊員ら20人以上が命を落とした。火災は人口が集中する東海岸で多発しており、社会生活への影響が出始めている。

 コアラやカンガルーなど動物の犠牲は12億匹以上と言われる。生き延びても、すみかや餌が長期間なくなれば生存が脅かされる。昆虫や植物など固有種の損失も含め、生物多様性への打撃は深刻だ。

 今回の火災で、推計3・5億トン以上の二酸化炭素(CO2)が排出された。豪州の年間排出量の3分の2に当たる。森林にはCO2を吸収する役割があり、失われることで温暖化が加速する。

 豪州では例年、12月から3月にかけて山火事が起きやすい。今回は昨年9月に始まった。出火原因は特定に至っていないが、背景として地球温暖化が指摘されている。

 各国の科学者や専門家がとりまとめた国連の報告書は、温暖化の進行により高温が日常化し、地域によっては山林火災が起きやすくなると指摘している。

 気温の上昇傾向は明白だ。産業革命以降の地球の年間平均気温を高い順に並べると、上位を2010年代の記録が占める。豪州でも、昨年は観測史上最も気温が高く、最も乾燥した1年だった。

 だが、温暖化への取り組みは進んでいない。世界有数の石炭産出国であり、エネルギーの大半を化石燃料に頼っている現状だ。モリソン首相の火災への対応が後手に回っていることに対しても、国民の批判が高まっている。

 環境問題が政治や経済、外交の安定を脅かす時代だ。世界経済フォーラムの報告書では、今後10年で懸念される地球規模のリスクのトップ5が、異常気象や自然災害など環境リスクだった。今月には、温暖化を防ぐ国際ルール「パリ協定」が始動した。今回の火災を、温暖化した未来からの警告と受け止めるべきだ。

 日本政府は航空自衛隊を派遣し、人員や物資の輸送に当たっている。収束に向け、各国が連帯して取り組む必要がある。

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