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代表質問への首相答弁 肝心な点になぜ答えない

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 安倍晋三首相は同じ答弁を何度も繰り返すことが「丁寧な説明」だと勘違いしているのではないか。そんな疑問さえ抱く。

 首相の施政方針演説に対する各党代表質問がきのう、衆院本会議で始まった。だが、「桜を見る会」の疑惑などに対する首相の答弁は昨年12月の国会当時とほとんど変わらなかった。これでは到底納得できない。

 立憲民主党の枝野幸男代表が質問の冒頭、先の首相演説では一切触れられなかった「桜を見る会」の問題を取り上げたのは当然だ。

 この問題では、政府が「ない」と言ってきた一部の関係文書が残っていた事実が新たに判明し、疑惑解明のカギでもある招待者名簿が本当に廃棄されたのかどうかも裏付けできない状況になっている。

 ところが首相は名簿について「個人情報保護」を盾に相変わらず早期廃棄の正当性を強調し、再調査の必要性を認めなかった。名簿管理や廃棄に際し記録を残していなかった違法行為に対して官僚の処分はアピールしたものの、行政トップとしての責任を誠実に語ることはなかった。

 首相と妻昭恵氏の関係者を大量に招待して、税金を使った催しを私物化したのではないか。そして内閣府が無理な説明を重ねているのは首相を守るためではないか。これが疑惑の核心だ。「自分には一切責任がない」という首相の姿勢はむしろ強まっていると言っていい。

 統合型リゾート(IR)事件も同じだ。枝野氏が指摘したように、事件はカジノが利権を生む構造を浮き彫りにしたはずだ。しかし首相は、こうした根本的な問題に触れようとせず、捜査中を理由に「詳細なコメントは控える」で終えてしまった。

 枝野氏は「分配」を重視する経済政策をはじめとして、国のあり方について、安倍政権とは違う選択肢をそれなりに示した。

 にもかかわらず首相はアベノミクスの成果を列挙するだけだった。枝野氏が旧民主党政権時には実質賃金指数は回復傾向にあったと指摘すると、民主党政権下ではデフレが進行したと強調し、「デフレ自慢だ」とまで言って反論する場面もあった。

 これでは議論にならない。肝心な点に答えず、国会質疑の劣化を招いている責任はやはり首相にある。

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