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社説

経団連の春闘指針 賃上げ回避が狙いなのか

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 経団連は2020年春闘の交渉指針に、業界横並びの集団的な賃金交渉は「実態に合わなくなっている」と明記した。春闘の意義そのものに疑問を呈したものだ。

 その上で、賃上げ交渉は個別企業の労使に全面的に任せ、春闘を「日本型雇用」の見直しを議論する場に変えるように提案した。

 経済のデジタル化やグローバル化に適した雇用・賃金制度に転換して国際的な競争力を高める狙いだ。職務に応じて賃金や待遇に格差をつける米国流の「ジョブ型雇用」制度への移行が理想という。

 経団連は18年には「高度人材の獲得に不利だ」として、新卒一括採用の見直しや就活ルール廃止も発表している。

 中西宏明経団連会長は、米大手IT(情報技術)企業などとの競争にさらされる日立製作所会長だ。脱「日本型雇用」を急ぐ背景には、中西氏の強い危機感が反映している。

 だが、春闘は今も非正規社員を含めた賃金全体の底上げを図る重要な意義を持つ。大企業と中小企業との賃金格差是正では、経団連加盟企業が下請けに対する過度な値下げ圧力をやめることが不可欠だ。

 近年の春闘は、デフレ脱却を目指す政府が経営側に積極的な賃上げを促す構図となってきた。

 13年以降、基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)を含む2%台の賃上げが続いてきた。しかし、「官製春闘」には限界があり、幅広い賃上げによる個人消費の活性化という好循環は実現していない。

 大企業は安倍政権の法人税減税など手厚い支援で過去最高水準の利益を享受してきた。一方、2度の消費増税などで労働者の負担感は強まっている。

 「ベアは時代遅れ」との考えがにじむ指針に対して、労働側の連合は「大企業の立場に偏っている」と批判した。実際、負担増に見合う賃上げが行われなければ、生活水準は下がり、景気にもマイナスだ。

 経営環境の激変に伴う雇用や賃金制度の大幅な見直しは、働き手の理解をきちんと得るのが大前提だ。脱「日本型雇用」を性急に進めて、働き手に「賃上げ回避」と受け取られれば、かえって企業の競争力を損ないかねない。

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