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社説

地質時代チバニアン たゆまぬ研究が実を結ぶ

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 46億年に及ぶ地球の歴史に、日本の地名が初めて刻まれる。77万4000~12万9000年前にあたる地質時代の中期更新世が「チバニアン」と名付けられることが決まった。

 ラテン語で「千葉時代」を意味する。恐竜が闊歩(かっぽ)した「ジュラ紀」や三葉虫が登場した「カンブリア紀」のように、ネアンデルタール人やマンモスが生きた時代の名として世界に発信される。命名を機に地球史への理解が深まることを期待する。

 根拠となったのは、千葉県市原市の養老川沿いにある崖の地層で、この時代の始まりを示す特徴が克明に刻まれていた。

 最大の特徴は「地磁気逆転」という不思議な現象の痕跡だ。地球は巨大な磁石のように地磁気を発している。過去にN極とS極が繰り返し逆転したが、千葉の地層には、77万年前から始まった最後の逆転の証拠が、鉱物の中に残っている。

 世界に分布する同様の地層のうち、千葉の地層は地上にあって調査しやすく、御嶽山噴火による火山灰や花粉の化石など複数の証拠から時代が分かるといった条件を満たしていた。研究者たちは最新の分析技術も用いて6年がかりで証拠を固め、ライバルのイタリアに競り勝った。

 研究者らは「地元、行政、研究者がワンチームでつかんだ画期的な成果だ」と喜ぶ。

 地元の自治会は、研究者や審査員らが安全に現場に近づけるよう、新しい道を切り開いたり、手すりを設置したりするなど手弁当で協力した。市は、研究環境確保のための条例を制定する一方、周辺の民有地を買い上げて、保存と研究を両立できる天然記念物指定につなげた。

 だが、順風満帆だったわけではない。利益を生まない基礎研究とあって、研究費確保に苦心した。寄付や海外の資金に頼った時期もある。

 そんな中でも、1970年代から多くの研究者が地道に積み上げてきた成果が生きた。地質学だけでなく、古地磁気学、生物学など多様な分野の専門家の協働が実を結んだ。

 地層は当時の環境を詳細に記録しており、過去を知ることは将来予測にも役立つ。地味なイメージがある地学や地質学だが、「地球の履歴書」を垣間見る楽しさを、研究者と共有したい。

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