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社説

南海トラフの津波予測 防災につなぐ政策が必要

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 政府の地震調査委員会が、今後30年以内に起きる可能性が高まっている南海トラフ地震で、大津波が発生する確率の推計を公表した。

 規模がマグニチュード(M)8~9級の地震で津波の高さが3メートル以上、5メートル以上、10メートル以上となる3パターンを想定し、地域ごとにそれぞれの起こりやすさを調べた。

 たとえば、3メートル以上の津波は、26%以上の確率で九州から東海の広い範囲に及ぶという。木造家屋が流失し始める規模の津波が、100年に1度以上に相当する確率で押し寄せる計算だ。

 政府は2012年にも津波の高さの推計を公表している。この時は、M9・1という考えられる最悪のケースを想定した。このため、最大34メートルの津波が太平洋沿岸を襲うという衝撃的な内容となった。ただ、この規模のものは過去2000年は起きていない。

 前年の東日本大震災を教訓に、地震・津波対策の合言葉となったのは「想定外をなくす」だった。しかし、被害想定があまりに甚大であるため、対応しきれないとして、自治体や住民らの一部に対策を手控える傾向も生んだとされる。

 今回の予測は、防潮堤などハード面の整備で対応できる範囲の津波が起きる確率を示した。すぐに「最悪」に備えられない自治体が、今後の対策に優先順位をつけるうえでの参考になるだろう。

 一方で、これまで「最悪」の被害想定に基づき、避難施設整備や庁舎移転などの対策を進めてきた自治体もある。

 この想定と切り離して、今回もう一つの被害予測を政府が示したことで、自治体に戸惑いが広がる恐れもある。

 12年の想定を公表したのは国の防災政策を議論する中央防災会議の作業部会だ。会議はその後、調査結果に基づく防災対策もまとめた。

 これに対し、今回の地震調査委はあくまで調査・研究の機関だ。予測を今後の防災対策に活用するかどうかは国や自治体次第となる。

 政府は今後、推計結果を自治体側に説明する。だが、それだけでは十分と言えない。予測を国の防災政策に取り込み、自治体が正しく活用できる道筋をつけるべきだ。

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