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社説

抗生剤のリスク 安易な使用は見直したい

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 抗生剤(抗菌薬)が効かない「薬剤耐性菌」による死亡者が、全国で少なくとも年間8000人以上いるとの推計結果が出された。

 国立国際医療研究センター病院(東京)などの研究チームが昨年12月、代表的な2種類の耐性菌について2017年の国内死者数を推計した。全国規模で初のデータだ。

 世界的には「対策を取らなければ、50年までに死者が1000万人」との推計もある。

 抗生剤を飲むと、耐性のない菌が死滅する一方で、一部の耐性を持つ菌が生き残り増殖する。院内感染が問題になったが、最近では日常生活における感染も増えている。

 肝心なのは、抗生剤の安易な使用をやめることだ。特に、風邪の原因のほとんどは抗生剤が効かないウイルスであるのに、処方されるケースが少なくない。

 関係学会などが診療所を対象にした調査では、風邪の診断で患者が抗生剤を希望した場合、「説得しても納得しなければ処方する」と半数が回答した。「患者の希望通り処方する」も1割強いた。

 成人を対象とした内閣府の19年度調査では、抗生剤が「風邪やインフルエンザの原因となるウイルスには効かない」と正しく答えたのは4割弱にとどまる。

 一方、細菌感染で抗生剤が処方された場合は、きちんと飲み切らなければならない。細菌が死滅せず、耐性を獲得しやすくなるからだ。

 日本では子どもへの処方が多いことも問題だ。厚生労働省は昨年末、医療者向けの適正使用の手引を改定し、乳幼児への対応を追加した。

 その中で、風邪や急性副鼻腔(びくう)炎では、抗生剤を投与しないことを推奨している。細菌感染を合併しないために抗生剤を予防目的で投与することも、やめるよう促している。

 風邪は本来、きちんと休むことで自然に治るものだ。ただ悪化した場合は、再度の受診が必要で、こうした点を含めて、医師が患者に十分説明することが大切だ。

 政府は20年までに抗生剤の使用量を、13年の水準の3分の2にする目標を掲げている。18年の実績は1割減にとどまる。医師には節度ある処方が求められるが、患者に正確な知識を広げる努力も欠かせない。

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