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メディアの風景

坪内祐三さんの「遺言」 ネットの危うさ、共有を=武田徹

坪内祐三さん=東京都渋谷区で2018年1月26日、大井浩一撮影

 評論家の坪内祐三さんが亡くなった。

 今、手元に2017年刊の「右であれ左であれ、思想はネットでは伝わらない。」(幻戯書房)がある。あとがきに坪内さんは「たぶんこれは私の最後の評論集になるでしょう」と記していた。後に出た著作はエッセー集だったので、その言葉通りになってしまった。

 なぜ思想はネットで伝わらないのか。あとがきには「ツイッターを読む」と「悲しい気持ちになる」と書き、ネットの言葉には「文脈がない」と評してもいた。坪内さんにとって文脈とは、そこから言葉が紡ぎ出される人々の“生きざま”を指す。「右であれ――」でも思想家や出版人の生きざまが丁寧な資料考証を通じて描き出されていた。

 それは坪内さん自身の生きざまが反映した仕事でもあった。圧倒的な読書量で知られる坪内さんが蓄積した知識は記憶の中で相互につながって独自の文脈を形成してゆく。そこから坪内さんにしか書けない評論が数多く生み出された。

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