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社説

記録的なサンマ不漁 庶民の味絶やさぬために

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 安価で栄養が豊富な庶民の味覚として親しまれてきたサンマの不漁が深刻化している。日本の水揚げ量は昨年、前年比約66%減の4万トン強に落ち込み、過去最低となった。

 日本の水揚げ量は2000年代には年20万~30万トン台で推移していた。だが、ここ数年は10万トン前後と低迷してきた。業界関係者によると、昨年は「前例のない大不漁だった」という。

 不漁の原因として、中国や台湾の乱獲が指摘されてきた。サンマは太平洋の公海を北上し、夏から秋にかけて日本近海に回遊してくる。近年は中国や台湾の大型漁船が公海上で大量に「先取り」するため、日本にサンマが入って来ないとの見方だ。

 しかし、国立研究開発法人水産研究・教育機構によると、昨年は台湾の漁獲量も前年実績の半分くらいに落ち込んだとみられるという。

 地球温暖化の影響で冷水域を好むサンマの回遊ルートが変わったとの見方もある。だが、最も懸念されるのは、取り過ぎによるサンマの資源量そのものの枯渇だ。

 実際、北太平洋のサンマの資源分布を調べている同機構によると、03年に400万トン以上だった資源量が、19年は96万トン強に減ったという。

 サンマの資源保護を巡っては、日中、台湾など8カ国・地域でつくる北太平洋漁業委員会(NPFC)が昨夏、初めて漁獲枠導入を決めた。

 ただ、漁獲枠は公海と排他的経済水域(EEZ)で年計約55万トンと最近の実績を10万トン超も上回る緩い内容だ。国・地域別の漁獲割り当ても決まっていない。実効性を欠く規制では資源回復を期待できない。

 北欧の漁業先進各国は科学的な資源調査に基づき、幅広い魚種について漁船ごとに漁獲枠を設けるなど、資源管理を徹底している。ノルウェーが18、19年にシシャモを禁漁にするなど、漁業の持続可能性のためには厳しい措置も辞さない。

 恒例の東京・目黒の「さんま祭り」は昨年、冷凍ものでしのいだ。サンマの小売価格は例年の2倍以上に跳ね上がった。関係者には「そのうちサンマが取れなくなるのでは」との不安も広がる。

 庶民の味覚を絶やさないために、日本は各国と協調して実効性のある資源管理を急ぐ必要がある。

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