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北村紗衣・武蔵大准教授に女性史学賞「シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち」

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著書「シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち」が第14回(2019年度)女性史学賞を受賞した北村紗衣・武蔵大准教授(右)。左は高岡尚子・奈良女子大アジア・ジェンダー文化学研究センター長=奈良市の奈良女子大で2020年1月11日午後1時23分、森田真潮撮影 拡大
著書「シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち」が第14回(2019年度)女性史学賞を受賞した北村紗衣・武蔵大准教授(右)。左は高岡尚子・奈良女子大アジア・ジェンダー文化学研究センター長=奈良市の奈良女子大で2020年1月11日午後1時23分、森田真潮撮影

 女性史・ジェンダー史的考察に基づく新進研究者らの著作を顕彰する「第14回(2019年度)女性史学賞」に、北村紗衣・武蔵大准教授の「シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち―近世の観劇と読書」(白水社)が選ばれた。ファン研究に足場を置きつつ、大規模な史料調査から、18世紀に英国で出版された初期のシェークスピア作品集の編集に夫と共に関わった女性がいたことなどを明らかにした成果が評価された。

 同賞は、中世史・女性史研究で知られる故脇田晴子さんが創設し、現在は奈良女子大アジア・ジェンダー文化学研究センター(奈良市)が運営している。1月11日、同大学で授賞式が行われた。記念講演した北村准教授は、17~18世紀の英国で、幅広い階層の女性たちがシェークスピア作品を楽しんでいた様子を紹介。舞台上演や戯曲そのもののみならず、自分たちで行う2次創作、参加型イベントといった多様なメディアを通じて楽しむ様子は、現在の舞台ファンとも共通していると解説した。

著書「シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち」が第14回(2019年度)女性史学賞を受賞し、授賞式で記念講演する北村紗衣・武蔵大准教授=奈良市の奈良女子大で2020年1月11日午後3時14分、森田真潮撮影 拡大
著書「シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち」が第14回(2019年度)女性史学賞を受賞し、授賞式で記念講演する北村紗衣・武蔵大准教授=奈良市の奈良女子大で2020年1月11日午後3時14分、森田真潮撮影

 また、英日米仏ニュージーランドといった各地の図書館が保管する16世紀末~18世紀に発行されたシェークスピア戯曲や翻案の刊本800冊以上について、書き込みや蔵書票といった当時の読者らが残した痕跡を調べたことを説明。一方で、そうした紙の史料に比べて、現在、ブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に書き込まれている個人の感想などウェブ上のデータは長期の保存に課題があると指摘した。

 授賞式では、選考委員を代表して姫岡とし子・東京大名誉教授(西洋史)が「膨大な文献を調査し、シェークスピアの『正典化』に女性がいかに重要な役割を果たしていたかを可視化した」と講評。北村さんの卒業論文の指導教官でもあった河合祥一郎・東京大教授(表象文化論)は「ファンダム(ファンが作る文化)を支える熱意、熱気をエネルギー源として取り込んだ、新しい時代の研究ではないか。書物そのものを対象とする文献書誌学の素養が、それを可能にしている」とコメントした。【森田真潮】

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