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香取慎吾さんら起用で敵を味方に 週刊文春WOMAN 雑誌不況なんの、好調のワケ

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「週刊文春WOMAN」2019正月号より、草彅剛さん(右)と笑福亭鶴瓶さんの対談風景(撮影:杉山拓也)
「週刊文春WOMAN」2019正月号より、草彅剛さん(右)と笑福亭鶴瓶さんの対談風景(撮影:杉山拓也)

 スクープが売りの「週刊文春」の女性版で、2018年末に創刊された「週刊文春WOMAN」(文芸春秋)が売れている。雑誌が売れない時代に、年3回の刊行ながら平均発行部数21万部を記録。創刊1周年を機に、年4回に増刊された。「週刊文春」の読者層はもともと4割が女性だと言われていたが、「週刊文春WOMAN」には女性編集長を起用し、女性目線の路線を強化した。なかでも、ジャニーズ事務所を退所後、テレビの地上波から姿を消していた元SMAPメンバーによる「新しい地図」(香取慎吾さん、稲垣吾郎さん、草彅剛さん)をいち早く起用した作戦が目を引いた。井﨑彩編集長(44)に戦略を聞いた。【出水奈美】

「新しい地図」を起用 SMAPファンも味方に

 19年末に発売した創刊1周年記念号は、「香取慎吾 あれから3年経(た)って」というインタビュー企画がネットニュースで大きな話題になった。「あれから」とは、SMAP解散のこと。メンバーのうち、ジャニーズ事務所に残った木村拓哉さんについて、香取さんが初めて公で語ったことに世間は鋭く反応した。

 「香取さんが木村さんについて話したということで、『SMAP』や『SMAP解散』がツイッターのトレンド1位になりました。発売日にはAmazonの雑誌部門や楽天ブックスの本部門の売り上げ1位に入りました。こんな話がうかがえたのも、1年かけて香取さんとの関係性を築いたからだと思っています」

 「週刊文春WOMAN」は創刊以来、表紙画を香取さんが担当し、アーティストとしての一面をのぞかせている。稲垣さんはSMAP時代の冠番組(「ゴロウ・デラックス」)を想起させる、本についての連載「談話室稲垣」をスタート。また、創刊号では、草彅さんも笑福亭鶴瓶さんと対談し、中居正広さんやジャニー喜多川さんについて語った。

 SMAPファンにとって、週刊文春はいわば「敵」。ジャニーズ事務所内の対立を記事にし、解散のきっかけを作ったと思われている。だが、「週刊文春WOMAN」は「新しい地図」を担ぎ出すことに成功し、SMAPファンの多くを味方に付けた。

 「新雑誌なので、新しい生き方をしている人に表紙を頼みたいと考えました。週刊文春とSMAPは相いれないと世間から思われているので、逆に、彼らが攻めの姿勢で文春に乗り込んでくれたら面白いんじゃないかと思いました」

「なんだよ、女性活躍って」

 そもそも、なぜ週刊文春が「女性版」を創刊したのだろうか。

 始まりは16年元日。セブンイレブン限定で出したパイロット版にさかのぼる。元日のコンビニの雑誌棚は、商品が少ない。そこでセブンイレブンが出版各社に声を…

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