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特集ワイド

サヨナラ坪内祐三さん 本と酒を愛した無頼派 ネット社会、変わりゆく東京を憂え

東京・三軒茶屋のなじみの居酒屋の前で=2019年、高橋勝視撮影

 うるさ型のご隠居風情が61歳で急逝した。古くさいだけではない、新しいもののチェックも怠らなかった。評論家の坪内祐三さん。ちょっと憎たらしくもあったけれど、ずっと気になる存在だった。本と酒を愛し、永井荷風にあこがれていた。同じ世代、たまに酒場で語った、とりとめもないあれこれ――。【鈴木琢磨】

 かつて東京は新宿・歌舞伎町に「利佳」という小さな居酒屋があった。雑誌の神さま、元「文芸春秋」編集長の池島信平さんがひいきにした。社用族のたむろする銀座の酒場は「有産無知識階級」の集会所、自らのサイフでおでんをつまむここは「無産有知識階級」のクラブだと評したとか。1993年、東京でサンデー毎日の記者生活を始めた私は通い続けた。とっくに池島さんは他界されていたが、白木のカウンターには「源氏物語」を翻訳した日本文学研究者のサイデンステッカーさんの顔があった。よく怒っていた。「どうしたんですか、日本は! どのチャンネルも巨人ばっかり。料理ばっかり。クイズばっかり」

 そんな「利佳」で飲んでいたある夜、坪内さんが編集者らしき年配の男性2人と一緒に縄のれんをくぐってきた。その雰囲気から初来店だと察した。私はちょっぴり誇らしかった。東京生まれ、育ちの坪内さんに先んじた!と。なにせ私は根っからの関西人、30代なかばで東京にやってきて、一人の友人、知人すらいなかった。なじみの酒場もない。週刊誌の記者などつとまるのか、とあせりながら、上野にあった古本屋で「新宿利佳の二十…

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